2013年9月24日火曜日

東関東吹奏楽コンクール(中学生B)2013

演奏後の記念撮影では、県大会の時とは違い、みな晴れやかな表情だった。
一人を除いてね。

本番でミストーンを出してしまった彼女は、一人号泣。

俺は、保護者は入れない撮影エリア内をガラスに張り付いて写真撮影しながら、ファインダー越しに彼女の泣きっぷりを見てもらい泣き。

大丈夫だよ!素晴らしい演奏だったじゃないか!

ついに過呼吸にまで陥ってしまった彼女。

どんな結果だろうと、それは君のせいなんかじゃないんだよ。

いつもドラマティック。そんな、吹奏楽コンクール東関東大会のお話。




コンクール準備やらなにやらで忙しく、県大会のトピック以来になってしまった。
久々でついつい長いトピックになりがちなのを堪えてなるべく簡潔に書こうと思う。


生徒たちは前日から前乗りで現地入りし、地元のホールを借りてリハーサル。
カミさんを含む、一部のお手伝いの保護者たちは、現地入りまでの道中や、リハーサルでの様子をケータイで撮って、会員専用BBSに写真付き投稿。(そんなカラクリを作っておいたのだ)

単に話で聞くより、ビジュアルという圧倒的情報量による臨場感で、妙~に気分も高揚し、ソワソワハラハラドキドキな状態になる。

こんなんでちゃんと寝られるんだろうか? 久々に6時間キッチリ激睡した。



息子と二人して車で現地に向かい、コンクールの開演時間を少し過ぎて会場到着。


ちょうど娘の吹奏楽部が開場前広場の一角に固まっていた。
カメラを向けてパシャパシャ撮り出すと、イベントと言えばカメラ向けてるおっさんな俺なので、部員らにも馴染みが出てきたらしく、あちこちからピースサインが飛んだ。

じゃ、みんな、頑張ってな~!


そして会場へ。 他の中学の演奏・・・の話はいいか。 いや、いろいろあったけどね。


我が中学の番だ。
一年生らによるパーカッションなどの楽器搬入。 静かに素早く的確に。
演奏するメンバーらも自分のポジションへ。

スタンバイ。

音楽監督である指揮者が客席に一礼。
拍手が鳴り止み、 指揮者は指揮台でメンバーらとアイコンタクト。

静寂・・・・

身内びいきな感覚かもしれないが、この時、客席の空気が変わったような気がした。
と、張り詰めた空気の中、客席左手側でどこかのおっさんが遠慮なしの全力の咳!
「テメコノヤロー・・・後で探しだしてぜってえコロス!」
と一瞬エキサイトしたものの、すぐに落ち着きを取り戻し、、、

指揮棒が振り下ろされた。

娘のコンバスの音から始まる。
幾つもの音が折り重なって、紡がれて行く。
これまで下位大会やその音源、ホール練習などで何度も聞いてきているのに、一つ一つの音、それらが織りなされた全体の音が、俺の心を震わせまくる。
もちろん娘の弾きっぷりにも感動せずには居られない。

バレエ組曲『白鳥の湖』から3曲の抜粋。 第一幕 情景、スペインの踊り、第三幕 終曲。。。
華やかなバレエの舞台がハッキリ見えた。

あちこちで細かいミスはあった。
そんなもの、全体のノリから見たらほんの些細なものだ。

そんな些細なミスの内の一つとして、木管楽器のリードミスがあった。
リードミスってのは、別の音と間違えるミストーンじゃなく、吹き方のコントロールを一瞬失くして、悲鳴のように鳴いてしまうミストーンのこと。

なんだか、本番というと、普段リードミスなんかしない子がたまたま「コンクールの魔物」のターゲットにされてしまうようだ。

全体の演奏レベルからしたら些細なことだけど、本人にしてみたら相当血の気が引いたんじゃなかろうか。


第三幕 終曲は誰もが知る『白鳥の湖』のメロディーを含む、ハイテンポな曲調。
最後の盛り上がりからの重層感重厚感は圧倒的だった。
ただうるさいだけの演奏をするバンドもある中、我が吹部は音楽監督の指揮の下、実に見事に演奏し切った。

残響の余韻・・・ 心の余韻・・・ 感動の余韻・・・

指揮者が指揮台から降り、客席に向けてお辞儀を・・・する前から沸き起こる拍手。

感動したね~。
もちろん手応えも感じた。

しかし、他の学校もみな県大会を勝ち抜けて来ているのだ。
結果がどうなるかは判らない。
どんな結果であっても素晴らしい演奏だったという事実は揺るぎないことであって、何が来ても受け入れようじゃないか。

と思いつつも、、、

部員らにしてみたら、そりゃもちろん、最高位大会まで進出し、そこで金賞を獲ることを目標に毎日毎日練習を積み重ねて来ている訳で、そんな彼女ら彼らを思うと、やはり金賞そして代表選出を祈らないでは居られない。

演奏後、すぐに会場の外で出て、記念撮影エリアに取り付いた。
中には入れないがガラス越しに見ることはできる。
俺はガラスにべったり張り付き、ガラス越しに記念撮影の様子を撮影した。

あ、、、やっぱり・・・

本番でリードミスしてしまった彼女は、一人号泣。
テレビのバラエティ番組で視聴者を引き止めるために書かれる「この後、◯◯号泣」は完全な詐欺だが、彼女の泣きっぷりは正しく号泣だ。

俺はカメラのファインダー越しに彼女の泣きっぷりを見てもらい泣き。

大丈夫だよ!素晴らしい演奏だったじゃないか!

ついに過呼吸にまで陥ってしまった彼女。

どんな結果だろうと、それは君のせいなんかじゃないんだよ。
これまで、一生懸命、ひたむきに、最善を尽して練習してきたことをみんなが知ってる。みんなもそうだ。
それでもなお、本番でミスが出てしまうのは、もうしょうがない。
それがたまたま君になってしまっただけで、それは君の問題じゃなく、全体の問題なんだってみんな分ってるよ。

とは言え(いや言ってないけど)、本人にしてみたらもう洒落にならないことだろうな。
みんなで一生懸命やってきたことを自分が台無しにしたとかまで考えちゃうのかな?
考えちゃうんだろうな。
自分がどうのこうのより、みんなを想ってのことなんだろう。

でも違うんだよ。
一生懸命やってきたから、あれだけ感動的な演奏ができたんだ。

でも、それだけ一生懸命やってきたからこそ、そこまで泣けるんだよね。泣けるのは良いことだ。
大人が失敗して泣いたら軽蔑されるけど、君にはそれだけ泣く権利があるよ。うん。 その涙は美しいな。
って俺の思考も訳わからんことになりつつ、心で彼女に呼び掛けちゃったね。


その後、会場前広場の一角でお弁当タイム。
彼女はご飯も喉に通らない様子。 思い出しては泣き、思い出しては泣き・・・
周りの仲間も慰めたり声掛けたり、見守ったり、
音楽監督もしゃがんでサシで話したり・・・

彼女のお母さんは離れたところから我が子を見守っていた。
それしかできないよね。


部員らは午後の演奏を聴くために会場へ。

俺とカミさん、息子、そしてミミちゃん(仮名)ママとで、それから昼食へ。

表彰式まで残るのはミミちゃん(仮名)ママを含む俺らの他、一組の夫婦だけ。
 (他にもまだ居たかな?・・・)

後は皆さん帰宅し、子供からの報告か、サイトに速報される結果を待つ。
俺はWebマスターとして速報入れる係だ。


そしてなんやかんやで夕刻。


審査結果の発表および表彰式の時間になった。
もともと保護者は会場内には入れず、ロピーや小ホールに設置されたモニターで様子を見ることになっていた。

俺はそれで結果を確認し次第、サイトに速報を流すのだ。

ところが、顧問の先生の計らいにより、俺らみんな会場入りできるようになった。
速報は遅れてしまうが、表彰式を生で見られる誘惑には勝てず、その旨サイトに書き込んでから会場入りした。

生徒らとひと塊の席に着く。
俺は男子部員らの席。

始まる前に隣りの男子部員に声を掛けた。
「大丈夫だろ?」
「大丈夫っす!」
「獲れるよな?」
「楽勝っすよ!」
「だよなー。オー!イェーイ!」(サムアップ)
「イェ~イ!」(サムアップ)

県大会までは表彰式で壇上に登るのは部長のみだが、東関東大会より上は、副部長も一緒。 つまり我が娘も壇上なのだ。

出場順に結果が宣されていく。
◯◯県◯◯中学校 銅賞! ◯◯中学校 銀賞! ・・・・

我が吹部の部長と娘がプレゼンターの前へ。

果たして・・・

「ゴールド!金賞です!」

俺の周りが明るく尖った黄色い声で満ち溢れた。


コンクール出場35校中、金賞受賞は11校だった。
しかし、東日本大会へ選出されるのは6校。
金賞受賞校のうち5校が、いわゆる「ダメ金」になる。

続いて、代表選出の発表。
これも出演順に読み上げられて行く。
わが校の出演順は12。
まず出演順7番目の学校が代表選出を宣された。
次はどこか?

神奈川県横浜市立・・・
うぉおおお! 来たーーーーーー! ウチだーーーーーー!
先ほどの数倍の音量の悲鳴。そこに俺の雄叫び!
俺が拳を上げて吠えているところをカメラマンに至近距離から撃たれた。

部員らも親も笑顔で泣いた。

あの、ハートブレイクな彼女はその時も泣いていた。でも笑顔でね。
それを見てまた泣けた。


残っていた別の夫婦がロビーでモニターしていて、会場入りした俺の代わりに奥さんが速報していてくれた。 ありがたし!
すでに幾つかリアクションのレスが入っていたので、さらに俺からも書き込み。

そしてその後、またもや会場前広場のあの一角で集合。
みんな、気分は高揚しまくりだ。

去年に引き続き東日本大会進出である。
舞台で演奏してなくても一生懸命サポート面で頑張ってる一年生や、舞台に乗れなかった子たちも、みんな含めて、全員で勝ち取った結果だ。


音楽監督、顧問の先生などから労いや賞賛のメッセージがみんなに伝えられる。
音楽監督は一年生の搬入係の働きも褒めていたし、顧問の先生も、一年生らのサポートが無ければこの結果は無かったといった事を言っていた。

だよね。
強豪校がず~っと強いのは、こういう面も作用してるんだろうな。
こういう場を空気を共有できればこそ、次は自分らが・・・とも思う訳だし。

演奏メンバーに入れなかった2年生たちも、悔しさと嬉しさと絶妙な按配なんだろうな。
この子らは、リハーサルの時も、会場の外でず~っと練習してる。
悔しさもあるかもしれないけど、長い目で見て、努力は無駄にはならないぜ。(おっさんは語る)


表彰式の後、代表選出校だけ残されていた部長と副部長が、トロフィー・盾・賞状を持って口々に何かを叫びながら駆けて来た。

みんなの中に入ったところから波が広がるように興奮が広がっていた。
何?どうした?何があった? え?  え?

一位? え? 一位? マジで?

「一位通過ー! 95点!」

うぅううううううおおおおおおおおおお~~~~!

一挙に現場は大混乱!
みんな泣くわ叫ぶわ! 阿鼻叫喚とはこのことか!

部員らの信頼と尊敬を一身に集める音楽監督も叫ぶ「一位~~~!やったぁ~~~!」

俺はスマホでサイトに追加報を入れた。
「泣け  一位通過だ  95点」 ネットの向こうの地元も大盛り上がりだ。

そして、俺は、4キロ四方のホエザルのメスが反応してしまうほどの叫びを発した。
幸いあの辺りはホエザルの生息地には当たっておらず、メスホエザルに囲まれることはなかったが。

サイトのトップページ更新のために大きめのノートPCを入れたカバンを抱え、右手にはちょい大きめのデジイチを持っているにもかかわらず、ジャンピングバンザイを始めたところ、周りの部員らもそれに呼応。
少しの間、どこぞの部族の村の祭りのような様相に。

「ハイファイブしようぜ」(ハイタッチね)と、部員らと「イェ~イ!」と始めたところ、娘以外では一番馴染んでいるはずのミミちゃんに「怖い・・・」とドン引きされた。 ウハハハハ。


コンクール専属のカメラマンがやってきて、写真を撮り始めた。
俺のカメラは内蔵フラッシュが付いてないため、シャッタースピードを遅めにして待ち構え、プロのカメラマンのフラッシュ光に便乗してみんなの写真を撮る という荒業に成功。


かなりハッキリ撮れた写真もあるのだが、ここには、個人特定されない程度ブレた写真を掲載しよう。
というか、このブレっぷりからも喜びが伝わって来て、俺はこの写真は気に入っている。



ちなみに、「強豪」であるはずの千葉勢は今年は一校も代表選出されなかった。
A編成(大人数編成:コンクールも別枠)では相も変わらぬ強豪っぷりなのだが、強いところはみんなA編成になっちゃったんだろうか。

去年は千葉勢と神奈川勢で3校ずつが代表選出されたが、今年は神奈川勢5校と栃木1校(2位通過)だった。

東日本大会は10月11日(訂正:12日)。 会場は富山県だ。
部員らは東日本大会での金賞獲得を目指している。
獲れるとイイな。 いや、獲ろうぜ!

いやいや、前回も書いたけど、それより大事なのは聴く人の心に響く演奏だよな。
結果は後から付いてくるってばよ。


随分簡潔に書いたつもりだが、大分長くなっちった。 ではまた。ごきげんよう。

4 件のコメント:

  1. 近所のおばちゃん2013年9月25日 21:20

    がはははは!!!!


    行くぜ!富山!!!

    取るぜ!1金♪

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  2. ウハハハハハハ!

    1金!!!
    いいですねー! 1位獲れたら、喉潰すほど吠えちゃいます。
    1位を獲る演奏じゃなく、全てを出し切って演奏したら1位だった ってのがイイよね。

    返信削除
  3. 感動のレポート拝見しました!

    『おいおい!千葉勢どーした!?』

    と思ってたところに、娘ちゃんの部の快挙…!!
    本当~…におめでとうございます~(*´∇`*)
    天晴れ…!いや、すごいです!!

    手から首からいろんな物をぶら下げたタイケーが、
    『泣け 一位通過だ 95点』
    と書き込んでるのを想像して、
    こちらも笑顔で泣きました^^。

    感動的な写真もホント素晴らしい~!

    これはホント、次も
    『取るぜ! 一金!』ですね!!

    おじちゃん、おばちゃんに夢をありがとう~…!
    次々に感動を運んでくれる娘ちゃんとその仲間達に感謝・感謝です…(o⌒∇⌒o)

    返信削除
  4. quiet colors さん、
    どうもありがとうございます~。

    > こちらも笑顔で泣きました^^。
    アハハハハ そりゃあ何よりです。

    1金ねー。意識して狙いに行ったら獲れないんだろうな。
    持てる力をすべて出しきれて、自分たちの演奏・表現ができて、ここまで演れたらもう結果はどうでも・・・くらいの心境になれるほどの演奏だったら、もしかして?・・・かも。

    いや~、ほんと、娘たちも親たちも得難い経験させてもらってます。 色々な事、物、人たちに感謝です。

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