物の呼び名っておもしろい
身近なものでも、正式名称を知らずに、テキトーな呼び名で使ってるものがあったりする。
今回は、我が家の「これ本当は何てえの?」なものをいくつかピックアップしたい。
● チョンチョコリン
娘が小さい頃から4年生くらいまでお世話になったチョンチョコリンの数々。
ちっちゃい頃は俺もちょいちょい付けてやったもんだぜ。
時には三つ編みもしてやったり。
で、この、飾りの付いた髪ゴム、我が家ではチョンチョコリンと呼んでいる。 一般的な呼び方なんだろうか?
これ本当は何てえの?
”飾り付き髪ゴム” か?
言いにくいだろ。味気ないし。
「とーちゃん、とっとこハム太郎の飾り付き髪ゴム買ってぇ」
うるさい!ボケェ~!
「とーちゃん、とっとこハム太郎のチョンチョコリン買ってぇ」
すいませーん、 これ1ダースくださーい!
な。 (な って何だ!)
● ガウガウ
カミさんと娘が使う、ちょっと髪をまとめておく時に使うやつ。
我が家ではガウガウと呼んでいる。 開いたり閉じたるしてる様はまさに「ガウガウ」って感じだよな。
で、これ本当は何てえの?
”スプリング式咬合型髪留め” とかかな?
な訳ねーか。
● パックンチョ
開封したお菓子やシリアルなんかの袋の口を留めるやつ。
我が家ではパックンチョと呼んでいる。
これ本当は何てえの?
”食品袋簡易留め具” とかかな?
そういえば何年か前のとある朝、出勤途中のこと。
勤務先の最寄り駅を出て道を歩いていると、ちょっと先の方で、見るからに仕事出来そう~なスーツ姿のおじさまが道端に立ち止まり、携帯電話で通話をしていた。
かなりの距離まで近づいた時、電話の内容は最後の〆に掛かっていた。
聞くともなしに聞こえてきた、おじさまの〆の言葉。
「はい。それじゃ午後3時、5階会議室、パックンチョ!」
えっ?えっ?パックンチョ?
パックンチョって言ったぞ、あのおじさま。
真面目な顔して、会話の最後にパックンチョって。
何なんだ? あのおじさまの会社の中だけの符牒なのか? どんな意味なんだろ?
あのおじさまの職場はみんな仕事中パックンチョパックンチョ言ってるんだろうか?
「○○さんとの打ち合わせ、アポ取っといてくれ。パックンチョでな」 「はい、パックンチョ!」
「ねぇ、今日、仕事終わったら二人で飲みに行かない?」「え~、どうしよっかなぁ~、、、ウフフ・・・、パッ・クン・チョ!」(← 自分で書いててドキドキした)
何だろな? パックンチョ・・・パックンチョ・・・
考えながら歩いていると、目の前に森永製菓のビルが。
あ!・・・あのおじさま、森永の人だったのか!!!
● パンの袋の口を留めるやつ
1個当たりいくらくらいなんだろ?
何屋さんが作ってるんだろ?
● カッチャン
これね、色んなところに使われてる、お馴染みのこれ。
我が家ではカッチャンと呼んでいる。
これ、本当は何てえの?
”プラスチック製簡易バックル”とかかな?
数年前、カッチャンがいくつか使われている製品を買った際、その製品のマニュアルならカッチャンの正式名称が書かれてるのではないか?と、マニュアルを精読してみた。
「カチットをしっかりはめてください」
カチットってなんじゃい~! それ、お前んとこで勝手に言ってるだけだろ!ウチと同じじゃねーか!やい!コノヤロー!カチットじゃねーだろ!えぇ!カチットってよぉ~!
まぁでも、その一文がオヤジギャクになってなかったのが不幸中の幸い。
まかり間違って「カチっとはめてください」などと書かれていようものなら、俺の怒りのエネルギーが関東地方を焦土にしていただろう。
● 母の思い出
ちょっと話の方向性がズレるのだが、ここまで書いてきて色々思い出してしまったもんで、ついでに書いておこうと思う。 ま、命日近いもんで供養の意味も込めて。
母はカタカナ語が嫌いだった。
嫌いというより、恥ずかしくて口にできなかったのかもしれない。
”テレビ”や”ラジオ”や”ミシン” など、生活に密着し、深い馴染みのある言葉なら問題なく口にできるのだが、ほんのわずかでもハイカラ感 ---ハイカラという言葉は今ではかなり古臭いが、当時の彼女の感覚を表現するにはこれほど的確な言葉はない --- が漂う言葉はダメなのだ。
なので、ウチでは、カタカナ語の名称は、正式名称がなかなか使われなかった。
例を挙げて行こう。
- 外で黒い水ばかり飲んでんじゃないぞ
夏の暑い日に外に遊びに行く際、よく言われた。
”黒い水” とは、コカ・コーラ,ペプシ・コーラ,ドクター・ペッパーなどのことだ。
だが、俺はどちらかと言えばオレンジ色の水や紫色の水派だったので、これは無用な心配だった。(そういう話じゃなくてよー)
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- おい、コーヒーに入れる薬取ってくれ
クリープのことだ。
”コーヒー” はアリなのに、”クリープ” はナシなのだ。 そこは彼女なりの美学であり哲学なのだ。 あ、もちろん、ブライトもナシだ。
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- 戸棚に毛唐の芋せんべい入ってるぞ
母は、「西洋の」とか「西洋人」という意味で、”毛唐(けとう)”という言葉を良く使った。
”毛唐” なんて言葉、時代劇や小説でしかありえねーと思ったら大間違いで、ウチでは普通に使われていた。
そう、”毛唐の芋せんべい” とは、ポテトチップスのことだ。
”芋せんべい” ではいけない。”毛唐の芋せんべい” だ。
..
- 今夜は毛唐の赤いうどんだぞ
スパゲッティ・ナポリタンくらい許してやれよ! ほとんど日本語じゃんか。
. - お前も毛唐のお茶飲むか?
紅茶は紅茶でイイじゃん!それ、カタカナじゃないでしょ!
.
- 毛唐の五目炒め
何を思ってか、超気まぐれで、食材とレシピが宅配されるサービスを利用したことがあった。 今じゃ珍しくもないが当時としてはかなり画期的サービスだ。
さてその初回、俺は興味深く夕餉の支度を手伝った。
送られてきた食材の中には初めて聞くようなカタカナ名のラベルが貼られた真空パックや調味料がある。
作り方の本(レシピなんて言葉は存在してない)は?
何?これ、聞いたことないよ。
小洒落たカタカナの料理名。フランス語?さらには作り方までカタカナだらけ。
「アーーーーハッハッハッハ!ダメだぁこんなの!」
言うなり母はレシピを放り出し、すべての食材と調味料を中華鍋に投入して ”毛唐の五目炒め” なるものを作った。
微妙~な味だった。
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- ま・・・ま・・・
母の吸うタバコはセブンスターだったが、晩年はセブンスターとマイルド・セブンをその時の気分でスイッチして吸っていた。
彼女にとって、タバコは”たばこ”だ。 商品名はカタカナなので言わない。
「おいタイケー、帰りにたばこ買ってきてくれ」
「あぁいいよ。セブンスター?それともマイルドセブン?」
「ま・・・まいどる・・・」
マイルド くらい照れないでサラっと言えよ! しかも間違ってるし!
物の名前や呼び名って面白いねぇ。
どもしす♪
返信削除家族だけの言葉ってあるよね 笑
ウチンチは
ミザ→水
タッシャ→ティシュー
ネボチン→先に寝ること
クスラ→お薬
ケメ→つけまつ毛
シロベ→パジャマ
等です ナハハ
あと電子レンジの事「チン」ってのは
全国的に常識になっちゃったけど
電子レンジが出た当時からなんだろうか?
タイマーがゼロに戻った時「チン♪」って鳴るからだろうけれど
もし最初の電子レンジが「ブー♪」っていう音だったら
「ブーしてー」って言ってるののかな?
俺が20歳くらいの時コックさんやってたんだけれど
厨房では「チンして」じゃなくて「エレックして」なんちってました
なんかプロがプロの場で「チン」なんて言うの照れてたんだろうかな 笑
川上ぃ~! コメントどーもありがとー!
返信削除> 家族だけの言葉ってあるよね 笑
うんうん。
> ウチンチは
> 等です ナハハ
ナハハハハ!どれもウチじゃ流行りそうになくて面白い!
> あと電子レンジの事「チン」ってのは
> 全国的に常識になっちゃったけど
そうだよね。でもウチは言わないけど。
「電子レンジで温めて」って言う。ハハハ。
> もし最初の電子レンジが「ブー♪」っていう音だったら
> 「ブーしてー」って言ってるののかな?
その語感がウケたかどうかによるでしょうねぇ。
> 厨房では「チンして」じゃなくて「エレックして」なんちってました
おぉ~!その厨房にはエレックさんが置いてあったんだね!
ちなみに我が家の現在の電子レンジはエレックさんですだ!
> なんかプロがプロの場で「チン」なんて言うの照れてたんだろうかな 笑
ハハ!確かに。プロの現場にはそぐわないやね、「チンして!」ってのはねぇ。