イタガキノススメ

かーちゃんに怒られたー

一昨日のことだ。
朝目覚めると、家の中で俺は独りだった。

あー、カミさんと子供らは出掛ける用事があったんだった。

一人なので、インスタントコーヒーとシリアルで簡単な朝食を済ませた。
身支度を済ませ、出掛ける用意も完了。

あらら？ まだ全然時間余ってんじゃん。
もっとゆっくり寝てりゃよかったなぁ。

テーブルに置いておいた朝刊を広げた。

まず一面。
浅田真央と高橋大輔が向きあって金メダルを見せあって笑ってる写真が載っていた。
イイ写真だな。
でも、何だろう？ 何かが足りないぞ。

うん、まさに、画竜点睛を欠くとはこういうことじゃないのか？

なぜかその日に限って、いつもきちんと仕舞ってあるはずの3色ボールペンがテーブルに置いてあった。

俺はペンを手に取り、無心で、”足りない”何かをそこに書き入れた。

真央ちゃんの上に、”アーーーハッハッハッハッハ！”
高橋くんの横に、”フヒヒヒヒヒヒヒヒー”

おー！完璧だ。
単なる報道写真に血が通い出したぜ。 素晴らしいぜ！

おふたりさん、世界選手権、アベック優勝おめでとう！

ひっくり返してテレビ欄。

とあるお笑いコンビの写真があった。
俺の右手が軽快に踊る。

額に矢。 ペンを赤に切り替え流血。
ついでに鼻血。
相方はお約束の鼻毛ぴろ～ん。

朝から一人で何やってんだ って？
いや～、楽しいよ～。

一枚ずつめくって、主だった写真に小学生レベルのしょーもないイタズラ書きを入れて行く。

学生相撲の取り組み稽古の写真、まわしの股間から何本ものはみ毛。
傍で取り組みを見ている力士のまわしには、「ファイトー！ 一発！」

優しいおっさん、ヤクザに変身。

夜回り先生は額に血管。

ある笑顔の女性は下唇の下にトム・ウェイツ風のヒゲ。

民主党の小沢君は地獄からの使者の目になり、猫ヒゲが生えた。

いや～、楽しい！楽し過ぎるぜ！
まだ誰も読んでない新聞にイタズラ書きってのがおもろ楽しい！

おっと、もう仕事に行く時間だぜ。
慌てて家を出た。
駅までバイクで向かう間、笑顔が地顔状態。

なんとか普通のテンションに戻して電車に乗り込む。

カミさんが帰宅してから新聞を広げるところを想像する。
「ん？何だこりゃ？・・・」
で、あちらこちらに散りばめられてる、どうしよーもなく低レベルなイタズラ書きを次から次に発見して行く。

「ンムハハハ」
想像して笑ってしまい、すぐに下を向いて咳き込んでごまかした。
職場に着いて、仕事をしてるとカミさんからメール。
メールのタイトル ： こらっ(｀へ´)！

ギャハハハハハハ！

娘も「ウケる～！」とか言いながら楽しんだそうだ。
息子がカウントしたところ、24枚の写真およびイラストにイタズラ書きがされていたらしい。

カミさんがこの話を近所のお友達のママにしたところ、
「それさ、発見されたからいいけどさ、誰も気づいてくれなかったらどうなの？」
と、真剣に心配してくれたそうだ。 ・・・ンプハハハハハハ！

いや～、おもろ楽しいよ。
みんなもやってみ？

絵心ない？ イタ書きにそんなん関係ないって。
まずは基本、鼻毛そよがせるところから始めよう。一本でも10本でも。
基本と言えば、ヒゲやメガネや眉毛、目の形なんかもな。

今回は1枚にしかやらなかったけど、言葉を入れるっての俺は好きだな。

いや、マジで。
やってみ？ おもろ楽しいから。金も掛からないし。

まだ誰も読んでない新聞ってのは凄くいいぜ。  チョーオススメだ。

いや、ほんと、小学生時代を思い出して、やってみ？
楽しいぞ～。
ま、家族にドン引きされる可能性もなくはないけどな。アハハハ。
いや、家族みんなでせーのでやるってのも楽しそうだな。

マジな話、これ、ボケ防止にもなると思うぜ。
いや、マジでマジで。