緊張はするも舞い上がることなく、とは言え尋常ならざるテンションでテンポは走りまくり、俺も娘もちょいちょいミスはしたものの、心地よい疾走感で楽しく演奏を終えた。
演奏を終え、客席に目を向けるや、驚いたことに!・・・・・
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娘のピアノ発表会に俺も出演した。 リコーダーでだ。 しかもタキシード着てだ。
何で? と思われるだろう。 まぁ人生、いろんなことがあるもんさね。
娘の通うピアノ教室の発表会は、ソロの他、連弾やアンサンブルで親も出演する機会がある。
大抵の家庭は一度くらいは親も出演しているのだがウチは今まで出てなかった。
次こそ是非にと言われてカミさんが先生に答えたのは、「じゃあ、私じゃなくて父親の方で」
その話を聞いて、「そしたら俺、リコーダー吹くわ」 と、その場のノリで受け答えをしておいたところ、それが先生に伝わり、本当にリコーダーで出ることになったという訳さ。
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さてどの曲演ろうか?
候補を出す→検討→却下を何度かした後、モーツァルトの『トルコ行進曲』が有力候補に。
ソプラノの上のソプラニーノリコーダーでメロディーの音域をカヴァーできる。
しかしこれ、リコーダーで演るには結構速い。 出だしの部分から既に速くてフツーじゃ吹けない。
まぁリコーダーで演ろうと思うやつはなかなか居ないだろう。 ならば俺が演ってやるぜ!
かくして平日朝出勤前の10~20分のリコーダー朝練の日課が始まった。
始めたのはいつだったか? 最低でも半年以上前だとは思っていたのだが、このブログの過去のトピックを洗ってみたところ、それに言及しているトピックを発見。
なんと去年の11月だった。 スゲーな。1年に渡って1曲の練習してたのか。
ちなみに木製リコーダーをほぼ毎日10~20分1年間に渡り吹いたら、プラ管同様、裏側の親指の穴がこうなった。
高音部は爪を立てるもんでね。
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曲を通して吹けるようになったのがいつ頃だったかは覚えてない。
この時点では、単に音を追えるだけであって、まったく人様にお聞かせできるレベルじゃなかった。
この頃、練習しているところに居合わせるたびに娘は失笑をばら撒いて行った。
小憎たらしい娘めー! 今に見てろコノヤロめ!
俺は反復練習の鬼と化して修練を重ねた。
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本番2ヶ月前くらいだったか、初めて娘と合わせてみるも、お互いグダグダで曲にならず。
心の中の荒野を西部劇に出てくる丸まった枯れ草が転がって行った。
それでも回を重ねるごとに段々形になっていった。
時には娘と一緒にピアノ教室に行って先生に演奏を聴いて貰ったりもした。
褒め上手な先生の掌の上で転がされ、すっかりその気でテンション上げちゃう俺。
しかし、本番2週間前のリハーサルでは見事な失態。 マズい!もっと頑張らねば!
練習しつつ、運指、サミング、爪の長さ・形、アンブシュア、音の粒立ち、音色、気合いなど、本番前日まで再チェック・研究しまくり、改善を試みた。
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人様の前で演奏を披露する以上、気持良く楽しく聴いて貰いたいし、自分も楽しく気持ち良くプレイしたい。
音楽的高みというレベルには程遠いまでも、その心意気は持って「より上」を目指すのさ。
そんな思いとウケ狙いの両面から、衣装はタキシードをレンタルすることにした。
連弾やアンサンブルで出演する他のお父さんたちはほぼスーツ姿だ。
そんな中、タキシード姿でリコーダーってのはインパクトあるだろう。
つまり、そんな出落ち的なインパクトを狙いながら、演ってることがグダグダだったら悲惨この上ないステージになっちゃう訳ね。
言わば、その格好に見合うだけの演奏をしますとも!って心意気の表れでもあった訳さ。
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そしてついに迎えた11月3日の本番当日。
6時間半に及ぶ発表会で、自分の出番はかなり後の方。 娘のソロや連弾、吹部で一緒だった子の演奏などを聴くにつれ、段々自分のステージの時間が近づいて来る。
ステージに立つのは四半世紀ぶりだ。 リハーサルで舞台から客席を見た時、「お~!この感じ!」とテンション上がった。 しかし緊張もする・・・
出番の40分以上前に楽屋に行き、タキシードに着替えた。
俺らの前に、娘の中学時代の吹部の後輩の男の子が妹さん(ヴァイオリン)と出る。 その彼がガヤガヤ騒々しい楽屋の中で試験勉強をしていた。 メンタル強えーにも程があるだろ! 本番前なのに!
その彼のお母さんが入って来て俺のタキシード姿を褒めそやしてくれたり、知らないお父さんに「衣装、、、す・・・凄いですね!」と言われたり。
「ありがとうございます。 3分ちょっとのためだけにレンタルしました。バカでしょー?ハハハハ」
そうこうしているうちに舞台袖に向かう時間に。 It's show time!
娘と並んで廊下を歩き舞台袖へ向かう。 「楽しく気持ち良く演ろうぜ」 とか言いながら。
舞台袖で出番を待つ間、興奮と緊張で尋常じゃないテンションに。
「俺、もう走っちゃう予感しかしねー」
すると娘、「とーちゃん走っちゃったらもうそのテンポで行っちゃうよ」
あぁそうか。 そうは口にしたが、走らないように気を付けねば・・・と、この時は意識していた。
「はい、出番です!」
心で気合を入れてステージへ出て行った。 ハイテンションのため表情は微笑レベルで出ていけたように思う。
そして、演奏を・・・始めた。
俺、有言実行(?)で走りまくった。 娘は負けじと追走。 さらに俺、煽るように走る。
それでもプレイ中は、走ってるかな~とは思いつつも、ただただ楽しかった。
俺も娘もちょいちょいミスった。
MAXの演奏ができなかったのは実力不足なのでしょうがない。 最善を尽くして練習してきたので後悔はない。
まぁしかし、却って走ったことで疾走感が出たのが良かったのかもしれない。
少なくとも自分は楽しく気持ち良く最後まで吹き切れた。
演奏を終え、客席に目を向けるや、驚いたことに!・・・・・すぐに拍手が沸き起こった。
いや~、嬉しかったな~。 通常はお辞儀してから拍手だからね。
思わず娘が前に出てくるのを待たずに先にお辞儀をしてしまった。
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舞台袖へ引っ込むと、先生やスタッフ、後に控えている共演者のみなさんに熱い拍手で迎えられた。
楽屋に戻ると知らないお父さんから声を掛けられた。
例のメンタル強い彼のお母さんがお嬢さんとの連弾の準備で楽屋に来て、賞賛の言葉を掛けてくれた。
その母娘の連弾を聴くために客席に戻ると、そのお父さんも賞賛してくれた。
もちろんカミさんもさ。決まってらーな。 さらに、知らないお母さんからも声を掛けられた。
息子の感想は「面白かった~」。 ・・・何だ?その感想。。。まいっか。
ミスりはしたが、その場の空気感やライブ感、疾走感、ノリで、オーディエンスのみなさんには楽しんでもらえたようで、その点は本当に何よりだった。
誰もが吹いたことのあるチープなイメージのリコーダーでイメージから外れる演奏をしたこともウケたのかもしれない。
今回の演奏、上手くできたらYouTubeで一般公開するつもりだったが、演奏自体は一般公開できるレベルには達してないので限定公開でアップした。
よければ観て聴いてやっておくんなさいまし。
観たよ~~~~♪
返信削除いやいや泣けた泣けた。
なんでだろ?
嗚咽る位泣けた。
俺だけかな?
俺だけだろうな。
泣きながら観てるの。
二人の心意気に乾杯!
どぼちょんBさーん、コメントあざっす。
削除色々~と感じて貰えたようで何よりです。
嬉しゅうございまする。
感動…!!
返信削除自由に走ってくパパをピタッと追う娘ちゃんの見事な演奏はもちろんの事、期待を大きく裏切るタイケーの華麗な指さばきに目が釘付け…��
ホント、沢山練習したんだね~(இ௰இ`。)
思い出に残る、魂の(?)演奏をありがとうございました~!٩(ˊᗜˋ*)و
quietcolorsさん! コメントサンキュー。
削除自由に走って・・・上手いこと言うねぇ。
あんまし練習自慢しても、ミスってんじゃしょうがないんだけどね。 まぁ練習しました。
「魂の演奏」 嬉しいフレーズです!
タイケーさんお久しブリーフ
返信削除あっかんです
いや〜感動そして笑わせていただきました
(^O^♪
タイケーさんのプレイばっかり気にとられて
娘さんの演奏が全然入ってきませんでしたw
そしてやっぱりタイケーさんの中に
ロックを感じました!
なんか上手く表現できないけど
演奏スタイルとか
ツェッペリンぽいっていうかなんていうか・・
ロックだな〜って
あっかーん! お久しぶり大根 お元気ー?
削除ハハハ、笑った?そりゃ良かったよ~。
何?マジで? ロックを感じてくれた? いや、嬉しいな~。
まさに、「ロック」なんですよ。 もちろんクラシックそしてモーツァルトへのリスペクトも忘れてないけどね。
いや、嬉しいな~。