2013年7月25日木曜日

ギターでロボトミー

俺の歯弾きと息子の裏弾き
人が何か新しい事を始めて、考えたり練習をしてる時の脳の活動は尋常じゃないそうだ。

以前は大人になってからは脳は発達しないと思われていたが、そうでもないらしい。
子供や若者よりは著しく成長曲線が鈍るものの、刺激と活性化によりシナプスは形成されるそうだぜ。

おっと、今回は俺の話じゃない。
息子の脳に活を入れるため、強制的にギターを習わせることにしたお話。



我が息子は我がDNAを受け継いでいるだけあって、かなりのアホだ。
しかし、アホを放置してはいけないのだ。 ただのアホになってしまうから。

今までカミさんも俺も、様々な試みをしてきたが、息子のアホの牙城を揺るがすには至っていない。
友人・知人らは我が息子の話を聞いて、「大物だ」と言ってくれているが、いやいや、単にアホなだけだ。


今まで散々アホなことをやらかしてゲー禁(ゲーム禁止)やテレ禁を何度も食らっているにもかかわらず、性懲りもなくドアホーなことをやらかし、かーちゃんの逆鱗に触れまくり、とーちゃんのエクストリーム・ローリング・ライトニング・スーパー・バカヤローを浴び、「一切の娯楽禁」を食らってしまった我が息子だ。

ゲームもテレビもPCもダメ。 友達と遊びに行くのも友達を呼ぶのもダメ。
言われなくても自らやるべきことをきちんとできるようになるまで、一切の娯楽を禁止。



そんな状況下、息子の脳を揺さぶって新しい刺激を与えてみてはどうか?と、ふと思った。

「とーちゃんはお前の脳に刺激を与えて活性化したいと思う。 選択肢は二つ!好きな方を選べ。
 1、ロボトミー手術! 2、師匠についてギターを習う」
「ロボトミー手術って何?」
「こめかみ辺りに穴空けてな。針金みたいなやつで前頭葉をグチャグチャグチャってやると、人格や性格が変わるんだってよ」
すると娘が口を挟む。
「でも、それって、悪い方に変わっちゃうこともあるんじゃないの?」
「そうなんだよ。 ロボトミー手術受けて、日がな一日エッチなことばっかり言うおっさんになった人も居たらしい」
「そんなのやだよー!ギター!ギター!ギター習います!」

こんな按配。もちろん師匠ってのは俺だ。


さて、ウチにはアコースティック・ギターは2本ある。

「1本は中学の頃、小遣い貯めてお年玉と親からの借金とで買った、8万円のギター。
 だけど、2割引きで買ったので8万円も払ってません。さて、幾ら払ったでしょう?」
「えっと・・・、4万円」
「ドアホー! それじゃ 1/2 だろ!」
「あ~、、、7万4千円! あ゛~~~6万4千円!」 なんとかかんとか辿り着いた。

「もう一本は大人になってから買った30万円のギター。凄く気に入ってる。
 でもな、もしもどっちか1本しか残せないことになったら、残すのは8万円の方」
「思い出が沢山あるから?」
「そうだよ~。 どっちも大切にしてるけど、8万円の方は絶対手放せないくらい大切。
 そのギターをお前に貸す」
「・・・・・」 神妙な面持ちで頷いたねぇ。可愛いじゃねえか。 少しは物を大切にする心も刺激されれば良いんだが・・・


翌日から毎朝30分はギターレッスン。 課題曲が弾けるようになるまで。

「師匠、お願いします」
「うむ!」(←大御所っぽい感じで)
毎朝これで始まる。

課題曲は、レ・ミゼラブルより『民衆の歌』。 その前に練習曲として、『泣くな、はらちゃん』のテーマ。

ドラマ『泣くな、はらちゃん』 良かったなぁ~。
あれ、チープなファンタジーだと思って観なかった人も多いんじゃ?
最初は俺もそう思ってたが、子供らと観ててハマリまくった。
あれはファンタジーでラブコメでありながら、深~い哲学ドラマだったぜ。いや、そーとー哲学的だったよ。

おっとギターの話だ。

通常、ギターを始める場合、コードを覚えてストローク、ジャカジャカ弾くやつね、から始める。
だが、あんまし面白くないので、メロディー弾きから教えた。

「最初の音はこれ。ここから自分でメロディーを思い出して、音を探して繋いで行ってみ」

初心者でいきなりこれをやらされたら、脳にはかなりの刺激になる。
案の定、ウンウンうなされながら四苦八苦して音を拾っていく息子。
最初の音以外、どこを押さえれば良いのかは教えない。 自分で探すのだ。

ゆっくり少しずつ音を紡いでメロディーにして行く息子。 な、やってみればできるもんだろ?
俺はもう一本のギターで伴奏を付ける。
下手っぴぃの初心者相手でも、一緒に合わせてると結構楽しい。中学高校時代を思い出してノスタルジックなセンチメンタリストになっちまったな。

息子が反復練習している傍らで、手慰みにBeatlesの『Blackbird』を弾いていたところ、娘が弟に向かって、
「お前がこれを弾けるようになったら、私はお前を認めてやる」
何じゃそりゃ!偉そうだな、ねーちゃん!



かれこれひと月以上経ったろうか。
あれこれありながらも、息子の「一切の娯楽禁」は一応解除された。


だがギターの修行は続く。
息子は『泣くな、はらちゃん』のテーマのメロディーを一応弾けるようになった。
今度はコード覚えてストロークの練習だ。 意外にもこっちの方が苦労してる。

「お前のストローク、ジェリコ長野みたいだな」
「え?・・・ジェリコ?」

ダウンストロークもアップストロークも、すべての弦に対してマシンのような正確さで均一にアタックして抑揚も雰囲気もへったくれも無い、無機質なストロークプレイをする、「ジェリコ長野」というギタープレイヤーが居たことを覚えているのは、俺の他はそう居ないだろう。(sorry! ローカルネタです)

息子のストロークはそんな「ジェリコスタイル」なのだ。
「お前もっと右手首をさ・・・」

さらに、F になると途端に音が「ボコボボン・・・♪」 ハハハ。いいねー、初心者。

課題曲完成までの道のりは遠い。


ところで、
ギターで少しは息子の脳は活性化されたんだろうか?

ある朝、息子が、プールに入るために体温などを記入し、親が押印して提出するカードを学校に置いてきてしまったと大騒ぎしていた。
それがないとプールに入れない。 どうすりゃいいか? 自分で考えろぃ!

何かのノートに書くことにしたようだ。
「何で連絡帳じゃないんだ?」「ん?連絡帳、、、無いよ」「何でだ!バッキャローぃ!」

罫線をフリーハンドで引いて・・・(フリーハンドかよ!)、
「とーちゃん、ハンコ押してください」
「バカヤロー! 枠だけ書いて何もないとこにハンコ押せるかー! 書くこと書けや!」

項目タイトルやら、体温やらなにやら書いて・・・「とーちゃん、ハンコ・・・」
押してやったさ。

すると息子、何か閃いたようだ。
「あ!そうか!!!いいこと思いついちゃった!」

お?ギターのお陰で脳が活性化されたのかな?

「このハンコのとこを切り取って、学校に置いてある水泳カードに体温書いて貼っちゃえば良くね?」

「・・・・・ ブァッカヤローーー!!!

「ダメなの?」
「ダメに決まってんだろ! それがアリなら何でもアリにできちゃうだろが!
 そういうのをな、有印私文書偽造および行使罪ってんだよー!!」


息子の脳が活性化されるまでの道のりも・・・遠そうだ。

2 件のコメント:

  1. どーもー。
    ゲー禁にも負けず、娯楽禁にも負けず、夏の暑さにも負けなかったけど、ロボトミーにはまけちゃったか!
    ギター少年とセッションする日が楽しみだせ

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  2. むさしすぎやまさ~ん! コメントどーもありがとー!

    セッションできるまでに上達すれば良いんですけどね。
    やる気あるんだかどうだか・・・微妙な按配です。
    ま、一応毎日続いてはいて、少しずつ上達してはいるんですけどねー。

    返信削除

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