定期券でシャバダバ

ネタになり損ねた出来事

前回のトピックの「定期券」繋がりで、ちょっとした昔語りを。

JRが現在のような非接触型ICカードタイプの定期券の運用を始めるず～っと以前。
定期券がペラッペラの磁気カードで、ようやく全国的に自動改札化が完了しつつある頃のことだ。

定期券の購入・継続は窓口業務だったのだが、ある時期から定期券販売機が登場し、それで新規購入や継続ができるようになった。
新規購入時は氏名・TEL・区間・期間などを入力しなければならないが、継続時は期間の選択のみでOKだ。

俺は敢えて継続処理を行わず、毎回新規に定期券を作っていた。
何のために？
うん。毎回名前を変えて遊んでいたのだ。
タイケー ヘンドリクス
タイケー スローハンド
キースリチャーズ、ロバートジョンソン なんて捻りのないものもあった。
みんな取っておけば良かったのだが、、、なんで一枚も残ってないんだろ？

ある時の偽名（レイルネームとでも言うべきか）は、

シャバダ パヤパ

だった。 シャバダバ シャバダバー ウー パヤパヤ のノリだ。
この名前で半年定期券を作った。

ところがこのシャバダ パヤパ名義の定期券、なんと、残り2ヶ月の時点で落としてしまったのだ。

オー！ ノォオオオオーーー！

しばらくの間、地元駅と勤務先最寄り駅の「拾得定期券」の掲示板を毎日チェック。
”シャバダ パヤパ 様”の掲示が出ることを心待ちしていた。
もし出たら窓口行って、、、

「拾得定期券のところに出てた、シャバダ パヤパです」
「あー・・・はい。シャバダさんね。身分を証明できるものお持ちですか？」
「はい、免許証で」
「はい・・・あれ！あなた、シャバダさんじゃありませんね」
「ええ。それ本名じゃないもので・・・」
「え？どっちが？」
「定期の方（に決まってんじゃん！）」
「あなたがシャバダ パヤパさんであることが証明できないとお渡しできません」
「シャバダパヤパさんじゃない人が、”私がシャバダパヤパです”なんて言わないでしょ」
「そういう問題じゃありません」
「ダッフンダー！ダメだこりゃ！また来週ー！」

なんてことにならないかとウキウキワクワクしていたのだ。
頼む～、見つかってくれ～・・・

そんなある日、夢を見た・・・・

俺は銀行にいて、背もたれのない長～いシートに座っている。
窓口のお姉さんに呼ばれるのを待っているのだ。
銀行は繁盛していて周りには沢山の人。

窓口のお姉さんが顔を上げ、お客様の口頭呼び出しを始めた。

「シャバダ様～」

な、何ぃ？・・・
周りを見るが、反応している人は居ない。
お・・・俺？・・・
お姉さん再び、先ほどより大きい声で、
「シャバダ様～・・・シャバダ パヤパ様～」

周りは無反応。うっわ・・・やっぱ俺だ。
「は・・・はい」
力無い返事をし、窓口へ向かう俺。
やっぺ、俺、シャバダパヤパになっちゃったんだ・・・
うっわ、なっちゃったんだ・・・やっべ・・・・

そして夢から覚めた。
まだ脳は覚め切っておらず、混濁状態。

「名義変更とか、手続き・・・面倒臭え・・・シャバダかぁ・・・
ハッ！ 夢！・・・あ～～～～良かったぁ～」

結局定期券は出てこなかった。

この後、定期券販売機には、しつこいくらいに「本名を入力してください」という表示や張り紙が出ていた。
きっと俺以外で、上記のやりとりをした人が大勢居たのだろう。
「スキャバラビッチ スポムポスキー って俺なんだけど・・・」
「チョロゲリータ ゲーハーシュタイン は私です・・・」
「ドン ツルリオーネだが・・・」
「アアア　って多分・・・僕です・・・」
ってな具合に。
俺もそのうちの一人になりたかった・・・