野球グローブの想い出
なんだから話が長~~~くなっちまったので、前篇・後篇に分けることにした。
友人・知人らの話の断片や、小説や映画で語られたことなどを総合して導き出したことだが、
どうやら、男にとって、父親とのキャッチボールってのは大事な事らしい。
もちろん、そうでない人も居るし、環境や状況からそういう体験を持たなかった人も居る。
ま、俺は後者の方だ。
それでも野球グローブに関する想い出ってのはある。
小学校高学年にもなると、野球グローブを持たない奴なんてのは極々少数派だった。
俺はその少数派に属していた訳だ。
友人らと遊ぶ際、稀にだがグローブ持参って話になったりする。
まぁ、持ってなくても適当な頃合で借りたりして、どうにかなる。
そういう時、「あ~、グローブってイイなぁ」と思ったりする。
だが、特定の友人とサシで遊ぶ際、「キャッチボールしようぜ」ってのは応じられない。
やっぱり自分のグローブが欲しい。 ってことになる。
恐る恐る養母に言ってみた。
「野球のグローブが欲しいんだけど」
「あー、そうかい。 じゃ、買い物付いてきな。帰りに買おう」
え゛ー! あまりにすんなり承認されてびっくり。
取引条件なしにすんなり要請が承認され、さらに即日執行されるなんてスーパーあり得ないことだったのだ。
「この棚の中から好きなやつ選べ」
スポーツ用品店には沢山のグローブが陳列されていた。
細かいデザインや作りが結構違うもんなんだなぁ・・・
俺は俺が一番カッコイイと思えるやつを選んだ。
「じゃぁ、これを」と養母。
「はい」と店主、グローブを袋に入れ、レジを操作。
選ぶ時に値札を見てなかった。
店主が告げた値段を聞いて眩暈クラクラ。
顔色一つ変えずに料金を払う養母にまたクラクラ。
いや、そんな~に高額な物ではなかったが、当時、決して裕福ではなかった我が家で、それだけの値段のものをこんなにもあっさり?ってのが主なクラクラの原因だったのさ。
そんなところに俺はなんとなく、養母の「気遣い」みたいなものを感じたもんさ。
当時は今よりも「野球」や「グローブ」が男の子にとって重要なんだって意識が世間に満ちてたんじゃないかな。
ぶっちゃけ、当時からそうそう野球好きではなかった(嫌いじゃなかった)俺なのだが、グローブは本当に嬉しかった。
家に帰って、手に嵌めてみる。
ゴワゴワと硬い。
真新しい革の匂い。
思えばグローブって初めての革製品じゃないの?
数十cmの距離で軟球をグローブの中へ放ってみたり。
硬くて全然馴染んでなくて、それがまた良かったり。
と、養母が、布切れとミンクオイルを持ってきた。
「革の油を塗りな」
そして革の手入れ方法 - ブラッシング・乾拭き・時にオイル - と、堅い新品グローブを柔らかく馴染ませる方法などのレクチャーを受けた。
不思議だった。
革製品の手入れ方法を知ってるのはまだ分かるが、新品の野球グローブは堅く使いにくいので柔らかく馴染ませるためにいろいろやったりするってことを何で知ってるんだろ?
ぜってー事前にネットでググってたとしか思えない。
以来、ボチボチとグローブの出番はあったものの、別に野球少年だった訳じゃないんで、ほんとボチボチだな。
隣の家のお兄さんがキャッチボールの相手をしてくれることもあったっけ。
でも一番やったのって、壁に向かってボール投げて、自分で捕球するやつね。 あれ、一番やったわ。 結構俺って孤独好きなのさ。
そんなこんなで中一の頃、
4つ下の従兄弟にグローブを貸してくれと頼まれた。
小3くらいでグローブ嵌めて野球するんだなぁ。
野球少年じゃないがグローブは大切にしていたので、失くしたりすんなよと言いつつ貸してやった。
そしてあろうことか、彼は見事にグローブを失くして帰ってきた。
友達も一緒に探してくれたがどうしても見つからなかったと言う。
彼は俺に詫びを入れに来た。
従兄弟ではあるが、家が近所で兄弟のように育って来た奴である。
奴としちゃ俺にぶん殴られるくらいの覚悟で来たようだった。
その時の俺のリアクションは、
自分でもびっくりしたが、
号泣だった。
中1にもなって、小3を前に号泣である。
奴は逆にビビったようだった。
しばらくして養母が介入。
「いつまでもめそめそ泣いてるんじゃない」
そして話はおわり。
その従兄弟にとっても俺の養母はビッグマザーだった。
彼女は、その話は俺と奴との間で終わってるってことで、失くしたことに関して彼には何も言わなかった。
以来、野球への興味も消え失せ、自分のグローブを持ったことはない。
友人らと柔らかいボールで、素手でやる野球は楽しかったが、グローブが必要な野球や遊びとは縁遠くなった。
いや、従兄弟への恨み節を書いてる訳じゃないぜ。
さらに言うなら、俺がプロ野球が嫌いなこととも一切関係ない。
人生、いろんなことがいろんな風に影響してくるもんだよな。って話だ。
グローブを手に入れた時も手放した時も、どちらも妙~に思い出深い。
で、どうやら父親とのキャッチボールは重要な事のようだって話なんだが、
であるなら、息子にはその機会を与えてやりたいと、奴が生まれた時からそう思っていた。
それが気に入るかどうかや、野球が好きになるかどうかは息子が決めることだ。
息子にいつグローブを買ってやるか?
息子と初めてキャッチボールするのはいつになるのか?
それは、息子が小2。 そう、ついこの前のことだった。
後篇へつづく・・・
友人・知人らの話の断片や、小説や映画で語られたことなどを総合して導き出したことだが、
どうやら、男にとって、父親とのキャッチボールってのは大事な事らしい。
もちろん、そうでない人も居るし、環境や状況からそういう体験を持たなかった人も居る。
ま、俺は後者の方だ。
それでも野球グローブに関する想い出ってのはある。
小学校高学年にもなると、野球グローブを持たない奴なんてのは極々少数派だった。
俺はその少数派に属していた訳だ。
友人らと遊ぶ際、稀にだがグローブ持参って話になったりする。
まぁ、持ってなくても適当な頃合で借りたりして、どうにかなる。
そういう時、「あ~、グローブってイイなぁ」と思ったりする。
だが、特定の友人とサシで遊ぶ際、「キャッチボールしようぜ」ってのは応じられない。
やっぱり自分のグローブが欲しい。 ってことになる。
恐る恐る養母に言ってみた。
「野球のグローブが欲しいんだけど」
「あー、そうかい。 じゃ、買い物付いてきな。帰りに買おう」
え゛ー! あまりにすんなり承認されてびっくり。
取引条件なしにすんなり要請が承認され、さらに即日執行されるなんてスーパーあり得ないことだったのだ。
「この棚の中から好きなやつ選べ」
スポーツ用品店には沢山のグローブが陳列されていた。
細かいデザインや作りが結構違うもんなんだなぁ・・・
俺は俺が一番カッコイイと思えるやつを選んだ。
「じゃぁ、これを」と養母。
「はい」と店主、グローブを袋に入れ、レジを操作。
選ぶ時に値札を見てなかった。
店主が告げた値段を聞いて眩暈クラクラ。
顔色一つ変えずに料金を払う養母にまたクラクラ。
いや、そんな~に高額な物ではなかったが、当時、決して裕福ではなかった我が家で、それだけの値段のものをこんなにもあっさり?ってのが主なクラクラの原因だったのさ。
そんなところに俺はなんとなく、養母の「気遣い」みたいなものを感じたもんさ。
当時は今よりも「野球」や「グローブ」が男の子にとって重要なんだって意識が世間に満ちてたんじゃないかな。
ぶっちゃけ、当時からそうそう野球好きではなかった(嫌いじゃなかった)俺なのだが、グローブは本当に嬉しかった。
家に帰って、手に嵌めてみる。
ゴワゴワと硬い。
真新しい革の匂い。
思えばグローブって初めての革製品じゃないの?
数十cmの距離で軟球をグローブの中へ放ってみたり。
硬くて全然馴染んでなくて、それがまた良かったり。
と、養母が、布切れとミンクオイルを持ってきた。
「革の油を塗りな」
そして革の手入れ方法 - ブラッシング・乾拭き・時にオイル - と、堅い新品グローブを柔らかく馴染ませる方法などのレクチャーを受けた。
不思議だった。
革製品の手入れ方法を知ってるのはまだ分かるが、新品の野球グローブは堅く使いにくいので柔らかく馴染ませるためにいろいろやったりするってことを何で知ってるんだろ?
ぜってー事前にネットでググってたとしか思えない。
以来、ボチボチとグローブの出番はあったものの、別に野球少年だった訳じゃないんで、ほんとボチボチだな。
隣の家のお兄さんがキャッチボールの相手をしてくれることもあったっけ。
でも一番やったのって、壁に向かってボール投げて、自分で捕球するやつね。 あれ、一番やったわ。 結構俺って孤独好きなのさ。
そんなこんなで中一の頃、
4つ下の従兄弟にグローブを貸してくれと頼まれた。
小3くらいでグローブ嵌めて野球するんだなぁ。
野球少年じゃないがグローブは大切にしていたので、失くしたりすんなよと言いつつ貸してやった。
そしてあろうことか、彼は見事にグローブを失くして帰ってきた。
友達も一緒に探してくれたがどうしても見つからなかったと言う。
彼は俺に詫びを入れに来た。
従兄弟ではあるが、家が近所で兄弟のように育って来た奴である。
奴としちゃ俺にぶん殴られるくらいの覚悟で来たようだった。
その時の俺のリアクションは、
自分でもびっくりしたが、
号泣だった。
中1にもなって、小3を前に号泣である。
奴は逆にビビったようだった。
しばらくして養母が介入。
「いつまでもめそめそ泣いてるんじゃない」
そして話はおわり。
その従兄弟にとっても俺の養母はビッグマザーだった。
彼女は、その話は俺と奴との間で終わってるってことで、失くしたことに関して彼には何も言わなかった。
以来、野球への興味も消え失せ、自分のグローブを持ったことはない。
友人らと柔らかいボールで、素手でやる野球は楽しかったが、グローブが必要な野球や遊びとは縁遠くなった。
いや、従兄弟への恨み節を書いてる訳じゃないぜ。
さらに言うなら、俺がプロ野球が嫌いなこととも一切関係ない。
人生、いろんなことがいろんな風に影響してくるもんだよな。って話だ。
グローブを手に入れた時も手放した時も、どちらも妙~に思い出深い。
で、どうやら父親とのキャッチボールは重要な事のようだって話なんだが、
であるなら、息子にはその機会を与えてやりたいと、奴が生まれた時からそう思っていた。
それが気に入るかどうかや、野球が好きになるかどうかは息子が決めることだ。
息子にいつグローブを買ってやるか?
息子と初めてキャッチボールするのはいつになるのか?
それは、息子が小2。 そう、ついこの前のことだった。
後篇へつづく・・・
どもです
返信削除いや~“グローブ”は来ます 涙
今回のトピ読んでいて泣きました・・・
“グローブ”語ったら色々ありすぎです
>それは、息子が小2。 そう、ついこの前のことだった。
養母様の
「あー、そうかい。 じゃ、買い物付いてきな。帰りに買おう」
これで涙腺が・・・タイケやばい・・・
>「この棚の中から好きなやつ選べ」
ちっと待ってよ・・・(って何を誰が待つんだかわかんないけれどそんな気持ちなの)
本当にクラクラです
>「革の油を塗りな」
俺も塗ったな~
そして軟球を握らせて紐で縛って一晩二晩寝かせて型を取るを取るんだ。
グローブの紐を解いてアンコ入れて硬球用にしたり
逆にキャッチャーミットなんかはアンコを抜いてキャッチした時の音をパチーン!と良くしてピッチャーのテンションを上げたり・・・
>ぜってー事前にネットでググってたとしか思えない。
だね 笑 XPかね?
>結構俺って孤独好きなのさ。
おっと・・・苦笑
>その時の俺のリアクションは、
自分でもびっくりしたが、
号泣だった。
うーん よっぽどだったんだろうね
そりゃそうだよね
泣くしかないかも・・・
>「いつまでもめそめそ泣いてるんじゃない」
凝縮されたお言葉です
普通なら怒るってか叱るでしょね・・・
>それは、息子が小2。 そう、ついこの前のことだった。
>後篇へつづく・・・
んー、バトンタッチ・・・映画みたい
俺も親父とキャッチボールしたな
親父どんな思いだったんだろ・・・
後編待ってます。
タイケーさん こんにちは
返信削除キャッチボールって、
私も父親とやった記憶がありません。
でも日本人ってなぜか
「子供とキャッチボール」って
通る道っていうか、大事な何かって言うか~・・・。
続きを楽しみにしてます!
川上ぃ~! コメントどーもありがとー!
返信削除> “グローブ”語ったら色々ありすぎです
やっぱそうだよねぇ。
俺でさえ思い出深いエピソードがあるんだから、フツーの男の子はもっと大有りなんだろうなぁと思ってね。
> これで涙腺が・・・タイケやばい・・・
> 本当にクラクラです
アハハハハ!
> そして軟球を握らせて紐で縛って一晩二晩寝かせて型を取るを取るんだ。
そうそう。それやった。布切れ裂いた紐だった。
ついでに俺、寝るとき、布団の下に置いて寝たよ。もちろん自分が乗らないところね。布団の重みがちょうどイイかな~なんちって。
> グローブの紐を解いてアンコ入れて硬球用にしたり
そういう話よく聞いたなぁ。俺はそこまで行ってないけどね。
> 逆にキャッチャーミットなんかはアンコを抜いてキャッチした時の音をパチーン!と良くしてピッチャーのテンションを上げたり・・・
スゲーね。ピッチャーのテンション上げる目的ってのが。
> >結構俺って孤独好きなのさ。
> おっと・・・苦笑
「孤独好き」って概念、わがんねーだろ?ウハハハ。
> 泣くしかないかも・・・
色々と思うところありましてね。
> んー、バトンタッチ・・・映画みたい
アハハ。
> 俺も親父とキャッチボールしたな
> 親父どんな思いだったんだろ・・・
俺的には子供の立場でどう思うのかに興味があるのよね。
> 後編待ってます。
うっす!
あっか~ん! こんにちは。 コメントどーもありがとー。
返信削除> キャッチボールって、
> 私も父親とやった記憶がありません。
あー、そうなの?
でも、そう、居るよね、お父さん居るんだけど野球趣味じゃないからとか仕事で忙しくてとかでキャッチボールしてない人ってね。
> でも日本人ってなぜか
> 「子供とキャッチボール」って
> 通る道っていうか、大事な何かって言うか~・・・。
うんうん。アメリカ人もだけどね。なんか大きいんだよね。
かのイチロー選手も、初めて親父とキャッチボールした時の、「あぁまたやりたいな」っていうその気持ちを持ち続けることが、プロのベースボールプレイヤーとして毎日試合に出続けることへのモチベーションに繋がるんです なんて、彼が二十歳の時に言ってる。
> 続きを楽しみにしてます!
こりゃどうも!
こんばんはー
返信削除なんか、タイケーさんのおかあさま
好きだなー・・・・・
ビッグマザーだね、ほんとに。
心に感動が広がって鼻がツーンとした。
タイケーさんが号泣した気持ち、
なんだかわかるなー
タイケーさんをさりげなく思いやる
おかあさまの気持ちを
子供だけどよーく感じ取ってるから
だからこそ 想いが 涙になったんだろーなー・・・・
こういう話はグッと来るね~
さぁ、続きはどんなだろうーーー??
ワクワク・・・
ネコキックさ~ん! こんばんはー! コメントどーもありがとー!
返信削除> なんか、タイケーさんのおかあさま
> 好きだなー・・・・・
ナハハー、こりゃどうも~
> ビッグマザーだね、ほんとに。
彼女は事実上一族の総帥でした。
> 心に感動が広がって鼻がツーンとした。
これはこれは、大変嬉しゅうございます。
> だからこそ 想いが 涙になったんだろーなー・・・・
まさに、そういうことですだ。
> こういう話はグッと来るね~
ありがたき仕合せ。
> さぁ、続きはどんなだろうーーー??
> ワクワク・・・
いや~、参ったなぁ~ アハハハ~