2011年9月8日木曜日

息子、チャリで車に激突

とーちゃんの正拳突きが役に立つ

何か大きな事が起こった時。
後からそれについて考えると、バラバラな複数の事象が、ある一点に収束しているように思えることがある。

つい先日、ウチの息子が遂にチャリで車に激突した時がまさにそんな感じだった。


俺がガキの頃とは違い、近頃では、近所のちびっ子からお兄ちゃんまで複数の年齢層で一緒に遊ぶなんてことは無いんだな・・・という印象だったのだが、意外にも息子は近所のちびっ子やお兄ちゃんと良く遊ぶ。

みんなで自転車で公園に集まり、中でぐるぐる乗り回したりってのは定番だ。
先日は、2年下のちびっ子に自転車を階段の上から投げ落とされ、走れない状態に壊されて帰ってきた。
2コ下にコテンパンにやられちゃったのかよ!
自転車屋に持っていくという息子をかーちゃんが引き止め、俺が綺麗に直してやった。

ウチの近所は車の通りは激しくないが、まったくない訳じゃないし、歩いている人だっている。
自転車で道路を走る時は気をつけるんだぞ。 ってのはよくよく言って聞かせている。
十字路でもT字路でも、道に出る時はちゃんと停まる。 これもきっちり申し渡してある。
が、何せウチの馬鹿息子、言われたことはその場限りな傾向が強くてねぇ。誰に似たのやら・・・

ちなみにその馬鹿息子、可愛いところもあって、夏休み中は俺が朝出かける時に玄関まで見送りに来ていた。
俺は準備が整うと、行ってきますを言う前に息子に向き直り、「よ~し、腹に力入れろ~。いくぞー。そりゃ!」と、腹に正拳突きを入れる。
息子は「うっ!ぁ~」などとチョー情け無い声を漏らす。
「ぁ~ってなんじゃい!もっと気合いれろや! じゃ、行ってきまーす」 ってのが日課だった。
しかし、毎日やっていると慣れてくるもので、しまいには正拳突き入れても「ムフ!」(ニヤっ)で涼しい顔で受け止めるようになった。
「よ~し、いいぞ」 継続は力なり。


さて、

その日も息子は自転車で近所の公園に乗り付けた。
いつも一緒に遊んでくれる6年生のお兄ちゃんがいる。
このお兄ちゃん、末っ子なのに近所のちびっ子たちの面倒見が良く、ガキどもが危ないことをすれば注意してくれる頼りになる奴なのだ。
ところがその日、そのお兄ちゃんは用事があって不参加だった。
息子と、近所の幼稚園児のやんちゃな男の子は、自転車で追いかけっこを始めた。


ウチの近所で「何か」があったらしい。不審者か空き巣か。とにかく誰かが110番通報。
管内をパトロール中のパトカーに、110通報の現場に急行するよう無線が入った。
ウチの近所では、何か事が無い限りパトカーを目にすることはない。


近所に住む、息子の同級生の女の子は、ママと車でお出掛けするところだった。
後部座席に乗ってシートベルトを締め、ママの安全運転でいざ出発・・・


息子と一緒に遊んでいた幼稚園児のちびっ子のママ。
普段は子供が外で遊ぶ時は付き添っている。
危険なことでもしようものなら怒鳴ってやめさせる。
ところがこの日に限って、どうしてもしなければならない買い物があり、子供に良く言って聞かせた上で、買い物に出かけて行った。


息子とちびっ子の自転車での追いかけっこは熱を帯びて来た。
テンション上がり過ぎて、遂に主戦場は公園の外の公道に。
それだけでもとんでもないことなのに、あろうことか息子はゆるい下り坂で自転車を加速させる。
ちびっ子君がそれを追う・・・


女の子を乗せたママの車は、いつものようにゆっくりと走って行った。
もうすぐT字路交差点だが、自分は直進側。
合流側道路から無謀な車や自転車の飛び出しが無いかどうか・・・などハッキリ意識して確認するドライバーが何人居るだろうか?
いつものように普通に気をつけながら抜けようとした時・・・


ゆるい下り坂を思い切りペダルを漕いで加速。火照った身体に風が気持ちいい。テンションもMAXだ。
もうすぐT字路だ。仕方なく減速。
でも、これくらいのスピードなら、そのままT字路を曲がれるかも・・・
と、その時、目の前の道に車のノーズが現れた。 「あ゛!」


近所のお兄ちゃんは凄いスピードで自転車を走らせている。
僕だって速く走れるんだ。 追いつきたい。 待ってー。
お兄ちゃんの自転車のスピートが少し落ちた。
と思ったら、あー!お兄ちゃんの前に!車!!!


女の子は後部座席に居て、前を見てなかった。
突然、物凄い衝撃音が。「ドカッ!」
何?どうしたの? あ、何?あの丸いの・・・


とても避けきれる状況ではなかった。
T字路交差点に差し掛かり、合流側に気を向けようと思う刹那、車の右前部分に、丸い肉の塊が自転車と共にぶつかって来た。
「ドカッ!」 
「キャー!」 
良く見たら、その丸い肉の塊は、ご近所のタイケー・ダビッドソンJr. だった。


あ!ヤバい!
スピード出しすぎた。道に出るのに停まらなかった。
すべてがスローモーションで流れる。避けられない。ぶつかる!・・・
「ドカッ!」
車の右前のパネルを凹まし、30センチほどの深いキズをえぐり、さらに勢いづいた力は、自転車のプラスチック製のかごがクッションになって抑えられた。
しかし、慣性の力が身体を前方へ押しやる。
投げ出され気味に持って行かれて、車のヘリに腹部を強打しそうになった瞬間、とーちゃんの正拳突きを思い出した。
腹筋に力を込める「フン!」 ドサッ 「ムフ!」(ニヤっ)


僕は思い切りブレーキを握って自転車を停めた。
お兄ちゃん、大丈夫かな・・・


「Jr.ちゃん、大丈夫?」
女の子のママが車を降りて息子の様子を確認。
「うん・・・大丈夫・・・」
お腹打ったでしょ?痛くない?脚は?・・・


「ドカッ!」
お?何だ? まるで、丸々と肥えた小学生が自転車で車にぶつかったような音だな。
よし、行ってみよう。
110通報の処理を終えた警官らが、音を聞きつけ、パトカーでクラッシュ現場に急行。
「どうしましたか?」
「あ、あーでこーで・・・」
「この子の親御さんに連絡付きますか?」
「はい」


カミさんのケータイが鳴る。
「え゛ー!息子が?自転車で?うん。すぐ行く」
カミさん、現場に駆けつけ、息子を無視して車のチェック。
凹みとキズを確認。「あ~、本当にごめんねー!」
「いやいやいや、そんなことより息子さんの心配してあげて!」
「何やってんだ!ボケー!」
そこに警官、「とにかく病院行ってください。何も無ければそれでいいし」


息子は軽い打撲。 骨に異常はなし。 全治2週間。
それでも病院で診断書が出てるので、人身事故扱いになってしまうのか?
馬鹿息子の飛び出しでぶつけられた相手としては最悪の悪夢だ。
にもかかわらず、息子のことを凄く心配してくれて、お見舞いまで持ってきてくれた。申し訳ないったらありゃしない。
物損事故扱いにできないものか?・・・できる?できるの? じゃあ、物損で。
物損でも、向こうの自動車保険で治療費は出るそうだ。

問題は車の修理費。
凹みの箇所がパネルの継ぎ目なので、板金で直すのは難しく、パネルごと交換になりそうだとのこと。
しかも2枚じゃないのかな。
そーとー掛かる。向こうは車両保険には入ってない。
ウチ、子供が何かやらかした時に降りる保険、入ってなかったっけ? 入ってたじゃん。

歩行者ではなく、自転車で飛び出しで、さらに正面からではなく、サイドに当たっていたせいであろう、過失相殺は8:2になりそうだ。
ならば修理費の2割はウチの保険から出せる。
なんなら7:3でも6:4でも、いっそ0:10でも・・・


息子は当初、脛が痛いと言っていたが、夜になって膝も痛いと言い出した。
うるせー!この馬鹿たれ!ぶつけられて凹まされた方のがよっぽど痛いわ!
道路を自転車で走る時はなぁ・・・

ウチでは誰も心配も同情もしないのだ。(ウソウソ。ちょっとはするけど内緒だよ)

男の子はいろんなことをやらかしてくれるが、人を傷つけるようなことだけはしないで欲しいもんだな。


さて、目の前で事故を目撃したちびっ子君、そーとーショックを受けているようだという話を聞いた。
俺はバイクの調子が悪く、出勤時にバス停まで歩いて行こうとしたところ、そのちびっ子君が一人で家の前で幼稚園バスを待っているところに出くわした。
「よぉ、おはよう」
「あ、ねぇ、何歳なの?」
幼稚園児は会話に脈絡もへったくれもない。
「俺?何歳だと思う?」
「え~っとね、19歳」
未成年かよ!!!
「お前、いい子だな~。 本当は80歳なんだよ」
「えー、ほんとー?」
「事故の時、びっくりした?」
「うん・・・」
「ウチの息子さ、車にぶつかってから弾んでなかった? ボイ~ン・ボイ~ン・ボイ~ンって」
「キャハハハハハハハハハハハハ!」 チョー笑いながら首を横に振っていた。
「君も自転車乗る時は気をつけろよ」
「うん!」
「じゃあな」
「バイバイ!」

バス停でバスを待つ俺の前を、彼を乗せた幼稚園バスが通り過ぎた。
バスの中から彼が笑顔で手を振っていた。
俺も力いっぱい振り返した。

彼や、今回の事故の話を聞いた近所のガキどもが、自転車に乗る時に気をつけてくれたら、息子の事故も少しは、いや大いに役に立つってもんだな。

そして、車やバイクを運転する大人たちも、子供が出没するところはよくよく注意して運転しようぜってことだな。

4 件のコメント:

  1. こんにちは

    えー!?
    なんか激しかった映像が飛び込んできましたが…
    全治二週間って大変じゃないすか大丈夫なんですか?
    怪我痛くないのかなー、可哀想に…
    でも大大事じゃなくて何よりです
    どうぞお大事になさってください。

    返信削除
  2. 川上ぃ~! こんにちは。 コメントどーもありがとー!

    > 全治二週間って大変じゃないすか大丈夫なんですか?
    こりゃどうも。 まぁ医者の診立ては2週間だけど、実質1週間ってとこでしょう。

    > 怪我痛くないのかなー、可哀想に…
    ダイジョブダイジョブ。
    とーちゃんの腹パンチトレーニングのお陰で助かったってエピソードが近所で静かに浸透して行ってるようです。ハハハ。

    > でも大大事じゃなくて何よりです
    > どうぞお大事になさってください。
    ははー。ありがとうございますー。

    川上もお大事にー!

    返信削除
  3. ネコキック2011年9月16日 0:35

    わーーー!!
    ひっさしぶりにブログをのぞいたら
    これだもの。。。
    あーもう変な汗かきました。

    不幸中の幸いと言って良いのか・・・
    お腹鍛えてたからよかったのか・・・
    とにかく入院なんてことにならずにすんで
    よかったーーー


    関係ないけど うちのダンナも
    息子さんと同じ歳に車に轢かれて
    入院しました。
    そんでちょっとアホになりました。

    返信削除
  4. ネコキックさ~ん! コメントどーもありがとー!

    > わーーー!!
    あーーーーー!

    > あーもう変な汗かきました。
    こりゃどうも。すんませんです。

    > とにかく入院なんてことにならずにすんで
    > よかったーーー
    ありがとうございます。ほんと、そうですわ。


    > 関係ないけど うちのダンナも
    > 息子さんと同じ歳に車に轢かれて
    > 入院しました。
    えー!マジですか!?
    俺は幼稚園くらいの時に車にハネられて入院しました。

    > そんでちょっとアホになりました。
    ギャハハハ。
    実は俺も。

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