帽子と靴下の類似性における苦手克服に関する考察

悠久の年月を経て

おそらく一般的には、実用性の観点から帽子を買う（つまり選ぶ）というのは、ごく日常的な、どってことないことなのだろうと思う。
ファッション性に重きを置くとなるとセンスがモノを言うので、また別の話だ。
だが、俺にとっては、実用面と言えども、これが大変なことなのだ。

帽子を選ぶということが困難・・・と言うよりできない。
実用面での選択であっても、多少のセンスは必要だ。（と俺は考える）
ところが、悲しいかな俺には帽子を選ぶセンスがない。皆無なのだ。

今まで自分で帽子を買ったことがない。
試着以外で最後に帽子を被ったのは、高校１年の５月に旅行先で友人の帽子を被って写真取った時だ。
以来被ってない。
スキーの時も帽子は被らない。
折角会員登録した公営スポーツ施設のプールは帽子着用だったので結局一回も利用しなかった。

もちろん、店で試してみたことは何度もある。
だが、何を被っても似合わないのだ。
試して被った時の自己ツッコミは凡そ以下の通り。
・売れないマジシャンかよ！
・温泉成金かよ！
・ローマ教皇かよ！
・ムッシュかまやつかよ！
・グリーンベレーかよ（ってそのまんまかよ！）
・フーテンかよ！（寅さんで良いじゃんかよ！）
・鞍馬天狗かよ！（ってどんなだよ！）
・引きこもりのイタリア人かよ！
・飲んだくれのテキサス人かよ！
・何症候群だよ!
・あ、バカだ
・あ～あ・・・

なぜだろう？・・・なぜかしらん？・・・
どーしてみんなはそんなにお気軽に帽子を選べるの？
解らない・・・なぜだ？なぜだ？なぜなんだ？？？

夏場、帽子なしで炎天下に居るのはかなり辛い。
子供が居るとそういう機会は否応なく増える。
それに、
ハーレーに乗るためヘルメットを被り、ある程度の時間を経過すると、髪がぺちゃんこに潰れる。
どってことないと言えばどってことないのだが、俺的にヒジョーに気になるのだ。
なんだか頭だけガダルカナル・タカになったような気分になってしまう。
なので、ヘルメットを脱いだ後はバンダナを巻くようにしているのだが、いちいち巻くのが結構面倒。
帽子ならお手軽で良いじゃないか。

あー、帽子が欲しい。
俺に似合う帽子はないのだろうか・・・
てか、主よ、私に帽子を選ぶセンスをお与えください・・・

うん。そうだ。
なぜ選ぶ帽子がことごとく似合わないのか、冷静によーく考えてみよう。
う～ん・・・・・・・・・・
あ、そっか。
帽子を特別視して、狙って変なものばかり選んでたのがいけなかったんじゃないのか？
世の中の人々は靴下を選ぶのと同じ気軽さで帽子を選んでいたりするじゃないか。
おー！靴下だ！　そのノリだ！
実用性を勘案した上で、そこそこに悪くないセンを衝く人も居れば、見る人をして侘しい気持ちにさせる、主に50代以降のオジサマなどが居たりする。
まさに靴下と帽子は同列ではないか。


てな訳で、別の買い物のついでに帽子を見てみたのだ。

変なモノを選ぼうとするのがいけない。
ごくフツーの帽子にするのだ。
とは言え、節操なく決めてもいけない。
たまに居るよね。サーファー系ブランドのロゴ入り帽子被ってるんだけど、あんたぁ、どーーー見てもサーファーじゃないよねー！ってオジサマとか。

ロゴに気をつけつつ、地味で無難なモノを物色。
FBI並みに地味な帽子を見つけた。
俺の皮ジャンのブランドロゴが入っている。
金払って宣伝して歩くのもしゃくだが、、、ま、いっか。
被ってみた。
うん。悪・・・くはない・・・よな？・・・
めっちゃめちゃ不安なのだが、平静を装いつつ、カミさんや子供らの意見を聞く。「どうよ？これ」

「いいじゃん」
「似合うー」
「てか、とーちゃん、若っ」

そっかぁ～、えへへへへ～

って、待て。
帽子被って若いってどういうことだ？
帽子で顔が良く見えなくなる → 顔以外の印象で若く見える → どんだけ若作りしてんだよ！ ってか。
う～ん・・・・
おし！これ、買っちゃえ！
とうとう清水の舞台から飛び降りたのだ。

そんなこんなで、悠久の年月を経て、ようやく買うことができた帽子が↓これ。
ま、悪くはない。自分じゃ結構気に入っている。
カッコイイ悪い云々のレベルじゃなく、おかしくなければＯＫなのだ、、、が、、、あ、、、写真見てたらやっぱり良く判らなくなって来た。
おかしいと思うと、とことんおかしく思えてくる。
な～に帽子なんか被って乙に澄ましちゃってんだ？オメー！　俺にもアイス食わせろ！ガオー！

いや、大丈夫大丈夫。おかしくない。
フツーだよ、フツー。
フツー？　フツーじゃつまんねーな・・・なんて思うんじゃねえ！
やっぱセンスないんだ・・・だから靴下と同じだって・・・な訳ねーじゃん。帽子は帽子だろ！靴下じゃねーだろ！

やめてぇ～！私のために喧嘩をするのはやめてぇ～！

出あえ出あえ！誰かおらぬのか！

県警本部より各移動。被疑者は二人の子連れ。黒い帽子を被って本牧方面へ逃走中。繰り返す。黒い帽子を・・・

「あの帽子と靴下は？」「は！惟任日向守に御座りまする！」「うむ。是非に及ばず！」

主文　本法廷は申立人の帽子と靴下に関する申し立てを相当と認める

太平洋高気圧に広く覆われ、概ね晴れるでしょう　南大東島の南西には黒い帽子で強い勢力のうらぶれた靴下が・・・

シャバダバシャバダバ～♪　シャバダバシャバダバ～♪

大儀であった。　これにて一件落着！