エレベーターでの憤懣 駐輪場での・・・

思考が関西弁になる瞬間

地元駅前には大型ショッピングモールがある。
俺は毎朝このショッピングモールのエレベータを利用して4階まで上がり、そこから橋を渡って駅へ行く。

ショッピングモールの営業時間外は、地下（駐車場）・1階・4階（駅へ）・屋上のみ止まるエレベーターだ。

朝、営業時間前の利用者のほとんどは駅へ行くために4階で降りる。
屋上に行く人もいない訳じゃないが、ごく稀だ。

つい先日、俺が1階からエレベーターに乗り込む際、俺より先に若い大人の女性が乗り込んだ。
その時エレベーターに乗り込んだのはその女性と俺の二人だけだった。

通常、エレベーターに最初に乗り込んだ人は、操作パネル前に立ち、目的の階のボタンを押したり、閉まるボタンを連打したりする。
ところがその女性、後ろから俺が乗り込むのをエレベーター奥壁面の鏡で確認するや、鏡に向かって立ち、髪型をわさわさ整え出した。
「そこのあんた、ボタンよろしく」 といった風情だ。

おい、コラ！
俺はお前の何なんだ？ えぇ？
お前は俺の何なんだ？

何なんだーっ！

アウ～～～～ガルルルルルルルルゥ～～～

操作パネルの前に立ち、4階ボタンに伸びる人差し指が震えた。
時間に余裕があれば屋上ボタンを押してやったのだが・・・・



その翌日のこと。
俺が最初にエレベータに乗り込み、他に二人ほど同乗者が居た。
ドアが閉まりかけた時、初老の女性がこちらに向かって走りながら後方に向けて叫んだ。
「ほらー、来てる来てるー、早くー！」

俺は巧みにパネルを操作し、閉まりかけたドアを開けてその女性を待った。
その女性、エレベータの正面まで来て立ち止まり、何事かを呟いた。
ん？ 聞き取れない・・・ 何て言ったんだろ？・・・

なぜか後方の連れへの呼びかけもやめてしまい、エレベーターに乗り込むでもなしに、ただそこにボっと立っている。
ちょいとちょいと、乗り込むの待ってるのに何してんのよ。

声を掛けてみた。

「いいんですか？」

彼女は俺を見て答えた。

「いいですよ」

悪びれるでもなく、愛想なく、そっけなく。

お・・・お前、、、何俺に許可してんじゃい！
” いいですよ ” って何だ！ ” いいですよ ” じゃないだろ、おい。コラ～！

「閉まる」ボタンを1秒間に14回くらいの間隔で3秒間ほど連打した。



そのまた翌日。

原付駐輪場へ入場する際、明るい色に脱色した長い髪をヘルメットからこぼれさせている女子高生が俺の前に。

駐輪場に入るには磁気カードを読み込ませてゲートを開けなければならない。
ゲート前で彼女も俺も止まる。

彼女、こちらをチラ見で視認。
その表情からは何も伺い知れない。後ろにおっさんが控えていることを鬱陶しがっているのか、急がなくてはと思っているのか。

彼女、原付のスタンドを掛け、シートを開けてバッグの中をゴソゴソやり出した。
ちょっと慌てている風情に見えなくもない。
俺は自分のバイクを壁に立て掛け、サイババの如く手の中に磁気カードを現出させ読み取り機へ。

「俺ので開けるよ。　・・・・ハイ、どうぞ」

俺のカードでゲートを開けて彼女を先に行かせた。

と、彼女、「あ、すいません。ありがとうございますっ（ニコっ）」

ぅっお～、ええコやでぇ。 きちんとお礼言ったでぇ。
歓心やでぇ。 ほん～ま、ええコやでぇ～・・・

思わず思考がインチキな関西弁になった。

イイ気分でカードをポケットに仕舞い、バイクを押してゲートを通ろうとしたその時、
時間切れでゲートが閉まり、俺のバイクの前輪に バーン！

ア～ッハッハッハッハ！ バーン！だって！
ヒィ～～～～ッヒッヒッヒッヒ・・・
腹いてぇ～・・・・