2008年11月7日金曜日

名前の話 ミセス・ハードランディング

あなたの名前は、たとえありふれた名前であっても、そうでなくても、
それを考え、名付けた人の気持ちの深さという純粋な意味において、
世界でただ一つの、とっても素敵な名前だ  ・・・と信じている
by Taikei Davidson

親が子供の名前を考える時、それはそれは色んなことを考える。

まだ右も左も判らぬ子供に「この名前でイイか?」と聞く訳にもいかないため、親の満足度で決定される。
であるからこそ、それはそれは深く悩んで熟考して決める。
そしてその名前に色んな思いを乗せ、願いや祈りを込める。

だが不幸にも、長じるに至って自分の名前が気に入らないという人も出てくる。
しかしまぁ、その時、親がどんな気持ちでその名前を考えたのか ってところに想いを馳せてごらんなさいな。
そうすりゃ少しはその名前が好きになれるかも・・・

んなナマッチョロけたこと言ってる場合じゃねーんだよ!
ってな人達がわんさか居ることを知り、愕然とした。

ネットの海をつらつら彷徨っていて、イタい親が子供に付けた可哀想な名前を集めているサイトにたまたま行き着いたのだ。

いやぁ驚いた。驚愕だ。 というより、、、あまりの酷さに凹んだ。

ソースは2ちゃんの、実在するイタい名前について語るスレッド(シリーズで130本以上立ってる)のようだ。
そこに挙がっているイタい名前を拾い出して整理し、イタい度を投票したりコメントを付けたりできるようになっているサイトだ。

掲載数はかなりの数に昇る。
ただ単に難読なだけのものも含まれるし、小洒落てるとは言え、それくらいはアリだろ?ってのもかなりある。

ちなみに、我が子ら二人の名前は同じ読みは挙がっていたが漢字まで一致するものは無かった。
ただ、息子の名前はある芸能人と同じであることがイタい理由として語られていた。「親がファン丸出し?」みたいに。いや、全然カンケー無いんだけど・・・

我が子らのお友達の名前もいくつか載ってた。
えぇ?全然アリじゃん! ってことで、「許容範囲」で投票しておいた。


まぁ「それくらいアリだろ」という感覚も人それぞれってのはある。
しかし、このサイトには、「人それぞれ」なんてレベルを遥かに超越しているイタい名前が満載なのだ。

名付けられた子が相応の歳になり名前を変えようと家庭裁判所に行き「名前の変更許可の申し立て」の申立書に書き込みを始めるや、その場で裁判官が「申し立ての実情」欄への書き込みを待たずに涙ながらに「許可の審判書」を発行するだろうってくらいのレベルの名前だらけだ。
一体親は何を考えてこんな名前を付けたんだろ?

本当に酷くて、見たら凹むこと請け合いなので、URLは書かない。
どうしても見てみたい人はググって探してください。

っつってもここまで書いたら気になっちゃうね。
では、ほんの一例をば。

名前:吾郎(ごろう)

ん? 別に普通じゃんって? これ、なんと、、、女の子に付けられた名前。

名付けた理由:母親が大の稲垣吾郎ファン

ぇえええええーーーーーー!!!!
ついでにこの母親、「女の子に吾郎って名前はかわいそう」という意見に対して「名前で性差別するなんておかしい」と反論。
性差別やジェンダーフリーの意味を根本から取り違えちゃってる奴って結構いるけど、そんな奴が大の稲垣吾郎ファンであったことの悲劇。(それ以前の問題だよ!)

その他、、、

1.「男の子が欲しい!」 → 2.女の子誕生 → 3.構わず男性名を命名(しかも姉妹二人とも)

1.「男の子が欲しい」 → 2.祖父:「絶対男の子だ!跡取りにするだ!俺が名付け親になるだ!」→ 3.女の子誕生 → 4.祖父「こいつなんぞ名無しの権兵衛だ」で権兵衛と命名(親っ!どうにかせい!)

戦争(せんそう)という名の女の子や、煮物(にもの)という名の女の子。(シンジラレナーイ)

ハム太郎(はむたろう)って、、、とっとこかよ! 縦書きなら公太郎?

親が知ってか知らずか(たぶん知らず)エッチな名前を付けられてしまった子たち。(男女それぞれの股間のモノのマイナーな俗称,ass hole の別の呼び方(3文字),肉体関係を主体とする友人関係を表す略語(3文字)など、その他多数)

伽路瑠(きゃろる)という名の男の子。 ま、親が熱烈なファンなんでしょうが、、、本来キャロルは女性名。

有名なところで、海に映る月をイメージしたのか、海月(みづき)という名の女の子。 それじゃクラゲだよぉ・・・


以上はほんのほんの一例だ。

海月など、親が知らなかった(というか確認調査を怠った)ものは、イタいはイタいが、悪意がない分まだ救われる。
騎士と書いて ないと ってのも、やり過ぎだと思うが、まぁこれもアリかナシかで言えば、アリだ。

だが、もはやある種の虐待だとしか思えないような名前は、付けられた本人は当然ながら、こちらの心までもが痛む。

これらのイタい名前、届出の際、役所の窓口で警告されないのだろうか?
しても聞く耳持たないのだろうか? ・・・ 不思議だ。



てなわけで、
お口直しに、名前にまつわるちょっとイイ話を。(お口?・・・)


これは、日本の、ある時代のある日、ある地方都市の小ぢんまりした町でのお話。
俺が関係者の方から直接聞いた話です。


子供が生まれて6ヶ月目には、区町村などの自治体が行っている新生児6ヶ月健診が無料受けられる。
ご存知だろうか? 新生児・幼児健診では、呼び出し時に子供の名前で呼び出されるのだ。
まだ名を呼ばれて返事できるほどではないので、応えるのは親(おおむね母親)となる。

健診会場の待合室。
次々と子供の名前が呼び出されている中・・・

一人の若い母親が拙い手つきで子供のおむつを交換していた。
傍から見ると、かなりぶきっちょそうな母親だ。危なっかしい。

彼女は子供をベビーベッドへ下ろす際、まるで着陸寸前に突風を受けた飛行機のように子供をハードランディングさせてしまった。
隣りにたまたま居合わせた別の母親が笑顔で突っ込む。「ちょっと、今、ゴンって言いましたよ。」
ミセス・ハードランディング、底抜けに明るい笑顔で答えた。「あはぁ~、大丈夫です~」
とても幸せそうな笑顔だ。我が子がいとおしくて堪らない様子が伺える。


次から次へと、子供の名前が呼び出されている中・・・

ミセス・ハードランディングのオムツ換えはまだ終わらない。
そーとーぶきっちょなのか。

と、彼女、またもや我が子をハードランディング。
隣りの母親、すかさずツッコミ。「今、ゴンて。ねぇ、ゴンて」
「アハハハ~、大丈夫です~」

この時、この話の語り部である ”関係者”はミセス・ハードランディングの仕草や、底抜けに幸せそうな無垢とも言える表情を見て気付いたそうだ。
彼女が知的障碍を持っていることを。

もちろん、知的障碍を持つ人が子を設けてはいけないという法はない。
が、そのために彼女が得た苦労や障害、この先乗り越えて行かねばならぬであろう困難はいかばかりだろう?
旦那さんはどんな人だろう? 良い人だろうか? であって欲しい。
きっと両親その他、周りのフォローやバックアップもあってのことなのだろう。

語り部はそう思い、そう語り、聞きながら俺もそう思った。

そんな話を聞きながら、俺は彼女のベイビーの名前が気になった。
彼女と彼女の旦那さんがベイビーに付けた名。 願いや祈りの象徴・・・

語り部もその点抜かりはない。
というより、この話の主題がまさにそこだったのだ。


次から次へと、子供の名前が呼び出されている中・・・

「のぞみちゃ~ん」

「は~い!」

彼女が応えた。 やさしく、かつ力強く。とても印象的な笑顔で。
そして歩いていく。
そのぶきっちょな両手で、
まだちっちゃな、
そして大きな
「希望」を抱いて。

4 件のコメント:

  1. タイケーさん こんにちは

    子供の名前って
    ひどいのありますよね~
    芸能人で「ダンカン」っているじゃないですか
    ダンカンは、あまりの阪神ファンのため
    子供の名前は確か「甲子園」です凹^_^;

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  2. どもです
    いつ頃からですかね
    子供の名前が“妙”になったの・・・
    俺達の代はまだ普通だったような・・・
    起点(基点)はテレビなような気がします
    自由だからいいんでしょうけど
    やはり常識というか限度はありまさよね
    姓名判断の方々も大変でしょうね 笑
    「煮物」には爆笑しました
    「酢豚」はさすがにいないでしょうね 笑
    とか言いながら俺も実際子供いたら結構やってたかも・・・タハハ
    「〆鯖」とか「鰻肝」とか食べ物系でしょうね
    川上〆鯖 ハハ
    川上酢豚屋敷 ブハハ
    おもしろいけど
    子供はたまったもんじゃないっすね 笑
    要するに神様はよーくわかってんでしょうね。

    >そして歩いていく。
     そのぶきっちょな両手で、
      まだちっちゃな、
       そして大きな
        「希望」を抱いて。

    感動して鳥肌ですわ
    イイお話ありがとう。

    返信削除
  3. あっか~ん! こんにちは。コメントどもありがとー!

    > ひどいのありますよね~
    あるねー。
    でもこんなにいるとは・・・知らなんだ・・・

    > 子供の名前は確か「甲子園」です凹^_^;
    酷い・・・
    度を越した趣味の押し付けって酷いね。

    返信削除
  4. 川上ぃ~! コメントどもありがとー!

    > 俺達の代はまだ普通だったような・・・
    でも俺の名前って当時から妙だぜ。
    小学生の頃は「変な名前ー!」って良く言われた。

    ほれ、あの、世紀君てのもすげー名前だべ。

    まぁ今に比べたらね、そんなにイタい名前はなかったけどね。

    > やはり常識というか限度はありまさよね
    ほんとほんと。
    もっと色んなことをちゃんと考えようぜってねぇ。

    > 「煮物」には爆笑しました
    ね。 でもサイトでそうなった理由読むと、「何もそんな・・・」って凹むぜ。

    > 「酢豚」はさすがにいないでしょうね 笑

    酢豚は見つからなかったけど、女の子で海凛都羽(かりんとう)てのが居た。
    あと、これも女の子で、しいたけ って名前もあった。

    > とか言いながら俺も実際子供いたら結構やってたかも・・・タハハ

    いや、川上は絶対やらないでしょ。
    「〆鯖」はおもろいけど。

    > 要するに神様はよーくわかってんでしょうね。
    それは全然ちゃうでしょ!


    > 感動して鳥肌ですわ
    こりゃどうも。 そりゃ良かったっすわ。
    その前の馬鹿親どもの話との対比としてね、こっちは物凄く純粋に美しいと思って載せました。

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