電車内で酔っぱらいに絡まれて
もう20年以上も前の話になる。
趣味でやっていたバンドでライブをやることになった。
友人知人らにコンタクトを取り、チケットを送ったり、直接会って渡したり。
そういう口実で会うだけでも楽しかったり。
そうやって会いまくった中に、以前銀座の喫茶店でバイトしていた時に知り合った、女性の友人が居た。
久々に会ったところ、お互い、気負うこともなく飾ることもなく、素直に楽しく実の有る会話ができて、なんだか妙~に良い時間が過ごせた。
さんざん喋くりまくって、夜も更け、さあ帰ろうとなった。
え? いや、だって、俺、ジェントルマンだし。ハハ!
途中まで電車も一緒だ。
山手線に乗り込んだ。
二人並んで座る。
またまた話は盛り上がる。
と、とある駅で、ベ~ロンベロンに酔っ払った兄さんと、そのツレのしっかり者の女性が乗り込んで来た。
兄さん、そーとーベ~ロンベロンのズルンズルンのフ~ラフラで、コントやってんのか?と疑いたくなるほど。
ウルトラ陽気ゆえ、嫌な感じはなく、こっちまでご機嫌に。
俺たちの座る両脇が一人分ずつ開いていたので、俺たちは一つずれて、ベロンベロン兄さんとツレの女性のために2つ分空けてあげた。
すると兄さん、「あ゛ーーー!どーもすいません、どぉ~~~もすいません!」と席に近づく。
ツレの女性、「ちょっと、しっかりしなさいよ!」そしてこっちを見て、「どうもすみません、ありがとうございます」
兄さん、ドスーンと席に着地。
「あ゛ーーー、こりゃどうも、ほんとにすんません。ほんとにすんません」
そして俺らにあーだこーだと酔っぱらいの戯言を撒き散らして来た。アハハハ。ちと状況的におもろい。
兄さんのツレの女性は必死に兄さんを食い止めようとする。「よしなさいってば、迷惑でしょ」「え゛ー?迷惑ー? ほんとにどぉーもすんません」
すったもんだの末、ベロンベロン兄さん、カバンから何かを取り出した。
「これね~、僕の~写真展。 良かったら~来て下さいね~」
と、俺の友人の女性に案内ハガキを手渡した。
古い鉄道の客車をテーマにした写真の個展の案内ハガキだった。
タイトルは「客車(はこ)」だったような気がするが、記憶は朧げだ。
そこに使われていた写真に惹かれるものもあって、さらに、その彼女のこともいろいろあって、、、、
と、彼女、「面白そうだね、これ一緒に行こうよ」 俺、すかさず、「うん、行こう!」
また会う約束があっさりできてイェ~!みたいな。
そしてライブを終えて数週間後、いや数カ月後だったかな?
彼女と待ち合わせて、ベロンベロン兄さんの写真展に向かった。
会場は西新宿のとあるビルのロビー。
古い板張りの客車の内部や細部や風景なんかの、優しく暖かい写真が沢山展示されていた。
そこに、例のベロンベロン兄さんが、スーパーシャキっとして立っていた。
そりゃそうだ。個展会場でベ~ロンベロンになってる訳ねえし。
素敵な写真ですねとかなんとか声を掛けたような気がする。
兄さん、いくつかの写真の背景説明をしてくれた。
そして俺、
「あの、俺たち、お兄さんに山手線で絡まれたんですよ」
「え゛ー! 僕が? 絡んだの?」
「そう。”どぉーもすいません~” って。 それで、この案内ハガキくれたんで、今日、来たんです」
「あ゛ーそうなの? いや~、全然覚えてない。 でもやりそうだなぁ。いや、よく来てくれましたねー」
と、そこに、兄さんの知り合いの、俺らと同年代くらいのカップルも来て、テーブルを囲んで座って5人で妙に盛り上がった。
兄さんがどこかに撮影に行った時に泥の沼にハマってしまった話でみんなで大笑したのを覚えている。
なんだか凄~く楽しいひとときだったなぁ。
この時のデートがきっかけと言えばきっかけで、一緒に行った彼女との仲も親密になった。
さらには、あれやこれや、あーだこーだ、三宅島が噴火だ! てやんでぇ、べらぼうめ! の挙句、、、
そう、その彼女ってのは、カミさんだ。
と、まぁ、かの兄さん、俺とカミさんの人生の中では思い出深い人物で、ヘタしたらキーパーソンでもあるが故に、時々夫婦の会話のネタに上ったりもしていた。
どうしてるだろうね?・・・
ちなみに、兄さんは名前を川井聡さんという。かわいさとしさんなのだが、俺とカミさんの間では「カワイソーさん」で通っている。
で、去年だか一昨年だかその前だか、
ふと思い立ち、ネットで検索してみたところ、アチラコチラからちょいちょいっと兄さんの情報をゲット。
おぉ~、ちゃんと写真家してらっしゃる! 勝手な話だが、妙に嬉しかったり。
そして、ある時、兄さんの準備中サイトを見つけた。
速攻でブックマーク登録し、オープンを待った。
ちょいちょいチェクするも、いつも準備中。
チェックの間隔も空いてきて、数日前、ふと思い出してアクセスしたところ、めでたくオープンされていた!
川井聡ホームページ
二十数年経て改めて写真を見るに、、、俺、この人の写真、好きだなぁ。
ところで、兄さんは俺たちのことを覚えてるだろうか? 覚えてねーだろうな。
でも、こういうちょっとした、人との交わりとか付き合いとかが、微妙~に人生に影響したりしてて、面白いもんだねーとつくづく思うのさ。
追記:(12/11)
川井聡さんのサイトから「コンタクト」を試みたところ、なんと!その数時間後に返信メールをいただきました。 感激です。
このトピックも読んでくれたようです。
どうも、このトピックで冷や汗ダラッダラに掻かせてしまったようです。アハハハ!(すんませーん)
俺らとの出会いは覚えていないようです。 そりゃそうですわ。一度会っただけですからね。
でも、俺の名前が珍しいせいか、記憶の端っこに引っかかるものがあるようなないようなな感じのようです。
タイケーさん こんにちは
返信削除川井聡さん
完全にキューピットですね!(^^♪
川井さんのプロフィールをみたら
英語でよくわからなかったので
yahooで翻訳したら、
「20年以上の間世界中でいろいろな交戦地帯、難民キャンプと被災地域で働いていた大阪生まれのフォトジャーナリストです」
と訳されました。
20以上前ってことは丁度
タイケーさんと出合った頃じゃないですか!
なにか運命的なものを感じますね!
あっか~ん! こんにちは。 コメントどーもありがとー!
返信削除> 川井聡さん
> 完全にキューピットですね!(^^♪
アハハ。そーなりまさーねぇ。
> 「20年以上の間世界中でいろいろな交戦地帯、難民キャンプと被災地域で働いていた大阪生まれのフォトジャーナリストです」
うん。俺もあのプロフィールは読んだけど、とりあえず今までネットで検索して見つけた中には戦争・紛争系の写真は見てないんだけどね。
俺が見た中では鉄道写真がほとんどかな。 鉄道ガッチガチでもなくて、そういうのを絡めた、風景とか人物とかパーツとか。
あ、でも、写真+文章ってのはちらちら目にしてるんで、「フォトジャーナリスト」でもあるんでしょうね。
> 20以上前ってことは丁度
> タイケーさんと出合った頃じゃないですか!
あー、そうだねー。
あの頃が、プロとして活動し始めた頃だったのかな?
俺より4つ上だから、そんな感じかもね。
> なにか運命的なものを感じますね!
ダハハハー! ま、こっちはね。 向こうは、んなこと言われても困っちゃうだろうけどね。
どもです
返信削除おさむーございます
なんとも素敵なお話ですね
ジーンときました
まるで映画を観てるような感じになりました
お二人の出会い
銀座の喫茶店のバイトで働くタイケ
電車の中の酔っ払い絡まれる二人
西新宿のビルロビーでの写真展・・・
20年経って今のタイケ家族の幸せ団欒のシーン・・・
なんて勝手に感動してしまいました
ラストは川井聡さんからの返信メールに驚くタイケ・・・
そしてで川井聡さんの美しい写真が何枚も出てきて
二人の出会いから今現在のタイケ家族が川井さんの写真と微妙に素敵に絡みシンクロするの・・・
BGMはイ・ムジチ合奏団版『パッヘルベルのカノン』
タイトルは「客車(はこ)」
おおっと涙腺が・・・
ううーマジで泣けてきた
川井聡さんのホームページに行き写真拝見しました
俺も鉄道やレールが好きなので
見入ってしまいました
着眼点がロマンティックで
言葉にならない何かが伝わってくる作品達に癒されました。
川上ぃ~! コメントどーもありがとー!
返信削除> おさむーございます
さっぶいねー。
> ジーンときました
マジっすか。こりゃどうも。
> タイトルは「客車(はこ)」
>
> おおっと涙腺が・・・
> ううーマジで泣けてきた
アハハハ!凄いな川上ぃ~。
> 川井聡さんのホームページに行き写真拝見しました
うんうん。
> 俺も鉄道やレールが好きなので
> 見入ってしまいました
おー、やっぱね。
> 着眼点がロマンティックで
> 言葉にならない何かが伝わってくる作品達に癒されました。
だねー。こう、なんつーの? ギラギラ狙ってない感じがいいよね。
あ、そうだね、ロマンティックだね。 優しい感じとユーモアがいいな。
「顔」シリーズ、俺、司会者がお気に入り。ペコちゃんも笑ったけど。