2010年7月13日火曜日

これなら楽ちん 原書の楽しみ方

柔軟性だな

お気に入りの海外小説家の作品を原書で読むことができたら・・・
いいよねー。

フツーにさらっと読めちゃう人が羨ましい。
いや、羨ましがってるだけで何もしないのは格好悪い。
よ~し、チャレンジしてみようじゃないか。
できるかどうかはともかく、チャレンジしてみることに意義があるのだ。

と、思い立ったのが20代前半位だったか。
本屋に行き、アメリカ文学の原書を読む勉強の教材としてリライトされた、スタインベックの『怒りの葡萄』を買って来た。

冷静に考えると、やっぱ俺、おかしいわ。アホだわ。
普段、娯楽小説しか読まないのに、いくらリライト版ったって何でそんなヘヴィーな文芸小説選んでんだ!ってんだ。

張り切って読み始めたものの、辞書引いたり読解ガイド見たり注釈参照したり、、、で、結局さっぱり物語りが入ってこない。
とりあえず先進もう。進んだは良いけど、、、僕の後ろに道はできない ああ自然よ 父よ (by 高村光太郎) って感じだ。

辞書引きまくったところで、そうそう分かるもんじゃない。
熟語の認識も甘いし、英語の読解力自体が甘々なとこ持ってきて、文学的表現や、時代や地域を反映した独特な言い回しなんか分かる訳がない。

結局、10ページも読まないうちに『怒りの葡萄』作戦は終了。
もっと簡単なやつじゃなきゃダメだという結論を得た。

その後も、なぜか数年おきに原書読解への意欲が湧き上がり、そのたびに読解トレーニング教材を買い、そのたびに何かしらの結論を得つつ、作戦は途中で終了していた。

「児童書なら分かりやすいかも」と思い立ち、『不思議の国のアリス』を買ったこともあった。
しかし、よく考えたら翻訳版を読んだこともないので、なかなかピンと来ない。 さらに、ファンタジーなので話のつじつまが合わなくなって、もうさっぱり。

この時も自らの浅はかさに大いに笑ったものだった。

結局、何冊チャレンジしたことか。
そして、最後の作戦はいつのことだったか。 もはや覚えてないほど昔のことだ。


さて、つい先日、
子供らと地元の大きな本屋へ行き、あちこちプラプラ見て歩いていた時のこと。

洋書コーナーの前を通り掛かった際、「ほぉ~、洋書か」と、何気なくササーっと、数あるタイトルを舐めてみたところ、あるひとつのタイトルに俺の視線はロックオン。

『STEPHEN KING  Different Seasons』


おぉ!スティーヴン・キング『恐怖の四季』じゃないか!!!

何を隠そう、、、いや、みなさんご存知の通り、俺はスティーヴン・キングの作品が大好きなのだ。
翻訳された作品のほとんどは持っている。
ほれ、このとおり。


この写真は大分前に撮ったもので、俺が持ってるキングの本はまだあと数冊ある。

まだコンプリートはしてない。未読の作品が少しばかり残っている。
それらは文庫版が出るまで待ちなのだ。

昔はハードカバーも買ってたのだが、高いし(それでなくてもキング作品は高い)、デカくて重くて電車では読みにくいし、場所取るから保管場所にも困るし で、近頃はもっぱら文庫本派だ。

キングの未読作品が早く文庫化されて欲しい、早く読みたいってのと同時に、読んでコンプリートしてしまうのも寂しいってな微妙なおっさん心。

さて、原書『Different Seasons』(邦題:恐怖の四季)の話。
これは4つの中編小説から成るもので、日本語の翻訳版は文庫本で2分冊で出ている。

■ 春夏編 『ゴールデンボーイ』(リンク先は恐怖のAmazon)
  • 刑務所のリタ・ヘイワース
    映画『ショーシャンクの空に』(名作です!)の原作
  • ゴールデン・ボーイ
    ホラーじゃないが怖い
■ 秋冬編 『スタンド・バイ・ミー』(リンク先は恐怖のAmazon)
  • スタンド・バイ・ミー
    映画も名作!
  • マンハッタンの奇譚倶楽部
    ホラーだけど愛の力に感動 原題を直訳すると「呼吸法」

実は俺、キング作品で最初に読んだのが、この『恐怖の四季』なのだ。
ちなみに、ド始めに読んだのが『刑務所のリタ・ヘイワース』。 色々な意味で衝撃だった。

そんな訳で、少なからず思い入れもある作品なため、思わず手に取ってみた。
フツーにアメリカで売られているペイパーバック。 7ドル99セント。 近頃のレートだと日本円で710円くらいだが、1,300円で売られている。

手には取ってみたが、結局また良くて十数ページ程度で作戦終了になるのは目に見えているので、買うつもりはない。

パラパラっと中を見てて、『The Body』(邦題『スタンド・バイ・ミー』)の冒頭部分で止まった。


最初の文。

The most important things are the hardest things to say.

おぉ~! 俺がこのブログにも引用したことある文だ。

「何にもまして重要だという物事は何にもまして口に出して言いにくいものだ」

何だか分からんけども、この一文にガツーンとやられてしまい、気づいたらレジでお金を払っていた。


さぁ、折角買ったんだから読まなきゃ勿体無い。
だが、普通にゃ読めないし、経験上、辞書を引きまくっても分かんないもんは分かんない。

あ!俺、完全なる翻訳本を持ってるんじゃん。

右手に原書のペイパーバック、左手に翻訳版の文庫本を持ち、
まず原書の英文を読む。一文ずつ読んで行く。
分からない単語や熟語が出てきたり、文自体がややこしくても、じっくり読み返して意味を探る。
どうしても分からなければ、翻訳本の該当箇所を読んじゃえばイイ。
おぉ~~~、なるほど~!
原文がそのまま理解できる時もあって、そういう時はかなりテンションが上がる。 過去のトレーニングも少しは役に立ってるのだろうか?

始める前は実のところ、こんなことして意味があるのか?と思ったのだが、やってみると意外にもか~な~り楽しい。
英文の、オリジナルの雰囲気を感じながら(とは言え本来の数%だろうが)読めるところに興奮し感動できる。
同時に翻訳の妙も楽しめるし、物語の流れに影響ないレベルの明らかな誤訳を見つけた時はスーパー興奮した。

原書ペイパーバック1ページ分の文章が、翻訳文庫本のほぼ2ページ分と一致するが、それだけ読むのに30分。
それでも十分楽しめる。
一日原書1ページ。朝、出掛ける前の30分はキングの原書読解タイムなのだ。(ま、時間が取れる時はね)
続けていければ1ページ当りの読解時間は短縮されていくだろう。


ちょっとズルとかインチキなやり方と言えなくもないが、、、いやいやそれで誰かを騙して得したり、迷惑掛けてる訳でもないんだから、ズルでもインチキでもないじゃん。

まぁ何かを楽しもうとした時、あまりにルールに縛られ過ぎてちゃ、楽しめるものも楽しめなくなっちゃうんだねってことだな。

20代の頃の俺だったらこういうやり方は完全否定してただろう。
あの頃の俺に、もっと柔軟性を持った方がイイぞーっと言ってやりてえ。 って気持ちがやがて我が子らに向けられ、そして鬱陶しがられるんだろうな。ハハ。

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