思い出として
首都圏でも私立の学校(小中高)だと、生徒が広範囲から通う都合上、卒業式中止の措置が取られているところも少なくないらしい。
それはかなり残念だろうなぁ。
被災地ではもちろんそれどころではないって学校も多いのだろうが、体育館が避難所になっているので家庭科室で卒業式を執り行なった学校のことをテレビでやっていた。
保護者代表の涙ながらの教職員への感謝の弁には心が震えた。
そんな状況や規模であっても出来ればそれはそれなりに思い出にもなるだろうけど、中止を余儀なくされたところは本当に残念だろうな。
日を改めてでも何か別の形ででもできれば良いのにね。
娘の卒業式は、地震も停電もなく、陽気も穏やかで雨も降らず、無事に挙行された。
無事にできたことに感謝だ。
当日の朝。
俺もカミさんも、ここのところずっと、娘の着る服・靴・アクセサリーと、自分らの着る服とで右往左往していて、息子の着る物をまったく考えて無かった。 正直、甚だ迂闊な話だし、息子にとっては甚だ「チクショー!」な話だ。
「あ!・・・お前、なんかそれらしいもの探して着てこい」 などと、小3の息子にとってはかなりハイレベルのミッション。
それらしいもの?・・・・
俺もカミさんも、もちろん娘も、自分の身支度でいっぱいいっぱいなのだ。
しばらくして息子が降りてきた。
「これでイイ? 脚が細く見えるジーパン」 いや、脚を細くみせる必要などないのだ。
「あのな、セレモニーではジーパンは控えるべきってのがあるんだ。別の探して来いー!」
息子が別のズボンを履いて降りてきた。
「じゃあこれは?」 息子が次に選んだのは、な・・・なんと・・・
「迷彩柄かよ! ゲリラ戦でもすんのかよ! しかも上はドクロプリントの長袖Tシャツっておい!!!」
「そんなのダメだ。上も下も取り替えろ!」
「えぇ~~~~」
「えーじゃねーだろ!何ぶーたれてんだコノヤロ! 嫌なら留守番してろ!」
「うん!分かった!」(ニコっ)
「えぇ~~~・・・」 カミさん「 えぇ~~~・・・」 娘「えぇ~~~・・・」
娘は一足先に学校へ。
俺は息子のタンスを物色。
質素なズボンを発見して持ってきた。 それ以外はボロいカーゴパンツか半ズボンだ。
「これ履いてみろよ」「それ小さいんだもん。留守番がいい」「うるせー!いいから履け」
「う~・・・やっぱり小・・さい・・・よ」
ツンツルテンならしょうがないが、小さいってのはウエスト周りだった。
息子の両腰のベルト通しを持ち、「ほら、ちょっとジャンプ」 息子をズボンの中に詰め込む。
シャツをたくし入れつつ肉も押しこみ、「はい、腹ひっこめて」 速攻でウエストのフックを止め、チャックを締める。
「ほら履けた」 「・・・・」 「苦しくてもゲロ吐くなよ」 「吐かないよー」
上も無難な服に着替えさせ、めでたく俺らも学校へ。
体育館に入り、天井の構造や照明の位置を確認。
こんな時なので、始まる前に、いざって時の避難に関する放送も入る。
卒業生入場。
流れる曲はヴィヴァルディのヴァイオリン協奏曲『四季』から『春』だった。
近頃の卒業式ではパッヘルベルのカノンが定番だと聞いていたが違うのか?
でも、入場のBGMなら、『春』の方が合ってるな。
式の冒頭で、東日本大震災で犠牲になった方々のご冥福をお祈りして黙祷。
なんやかんや挨拶があって、卒業証書授与の段取り。
一人一人舞台に上り、名前を呼ばれ、卒業証書を受け取り、舞台反対側で降りる。
この時のBGMがパッヘルベルのカノンだった。 ここで来たか。
な~るほど。リハーサルでも毎回これ聴いてりゃ、そりゃ刷り込まれるわな。パッヘルベルのカノン=卒業式って。
2曲目はバッハのチェンバロ協奏曲。これも名曲だ。 3曲目以降は覚えてないや。
直接あるいは間接的に知ってる子が結構居て、
あ~、娘の仲良しの子だ。
あ~、昔仲良しだった子だ。
ミミちゃん(仮名)、なんで笑ってんだ、おい。
あ~、話に良く出てくる子だ。
うわっ、あいつ、デカっ!
あ~、仲良しだったのに仲違いしちゃった子だ。
などと、娘との関係から他所の子の時もグっと来たりする。
もちろん我が娘の時は、、、カミさんはビデオ撮影、俺はデジタル一眼レフで写真撮影。
ファインダー越しじゃなく肉眼で見たいんだけど、、、でも光学映像だからコンデジの液晶画面で見るよりは良いことか。
しかもズームで肉眼より大きく見えてるし。
緊張する場面だと決まって不機嫌そうな表情になるのは昔っからだ。おいおい、もうちょっと表情柔らかくしろよー。
そして歩き方。 俺のDNAだろうな。姿勢悪いのは。
別に泣きはしないが、12年の大きな区切りってことで、感慨もひとしおだ。グッとは来る。
春からは中学生。 来年度はいよいよティーンネイジャーだもんな。
近頃の卒業式は、『蛍の光』や『仰げば尊し』は無い。
けど、卒業生一同が6年間の想い出を語り、部分的にみんなで唱和するってえのは、いまだにやってるんだね。
あれは俺、小学校卒業当時、笑っちゃってたもんで、娘の時もやっぱり笑った。
あんなもん、大人に言わされてるだけだし。
娘にしたって以前、リハーサルでこういうことをやらされるが、あんなもの茶番だ的な発言をしている。
「『日光東照宮の鳴き龍の声は今でも耳に残っています』って、もうとっくに忘れてるしー!」
「『僕達は私たちは未来に向かって羽ばたきます』って、へっ!卒業して中学行くだけだしー!」
そんなこんなをヘナチョコな顔しながら、くさしてた。
実に真っ直ぐ育っている。
式典は滞り無く終了。
友達と写真撮ったり名残り惜しんだり、わーわーやって帰宅。
ふぅ~。
何しろ式が無事にできたのは何よりだ。
娘には、小学校卒業と東日本大震災とは結びついて記憶されるんだろうな。
翌日は国連軍によるリビアへの空爆のニュース映像を見て「何これ?どうしたの!?」なんつってたんで説明してやったけど、こっちは微妙かな。
ちなみに、冒頭の写真。
お花は学校で貰ってきたんだよな。在校生が作った?違う?よくわかんねーや。
略章みたいなエンブレムみたいなブローチはジャケットとは別口でネットで注文したもの。
そして、あのリボン。
あれは俺のネクタイをほどいてカミさんが仕立てたワンオフものだ。
滅多にスーツを着ない割りにネクタイだけは無駄に本数持ってるもんで、リボンに使えそうな物を提供することになり、いくつか作った中からベストな物を選んだ。
娘はどうか知らんけど、俺としては実はこっそり、この事が思い出深い事になりそうな予感だ。
お嬢様、ご卒業おめでとうございます♪
返信削除無事に卒業式が終わってよかったですね。
我が家の息子は明日です。
今朝は何度も揺れているので、心配です・・・
それにしても大きな地震でしたね。
ご家族様ご無事でなによりでした。
私は中越沖地震の時に実家を失くしているので、気を確かに持とう!と思いつつも、どっぷり「震災ハイ」に陥ってしまいました。
今回は自分自身も大きな揺れで怖思いをしたので、これでようやく地元の人たちの気持ちがわかったような・・・
わかってはいないかな、少し近づいたような気がします。
入学式の頃には落ち着いているといいですね。
お互いに。
スミレさ~ん! コメントどーもありがとー!
返信削除> お嬢様、ご卒業おめでとうございます♪
こりゃどうもありがとうございます。
> 無事に卒業式が終わってよかったですね。
はい。何よりでした。
> 我が家の息子は明日です。
おぉ、明日ですかい。
> 今朝は何度も揺れているので、心配です・・・
そうですね。昨日、今日と結構揺れてますね。
明日は何事もないことを祈りますよ!マジでマジで。
> それにしても大きな地震でしたね。
大きかったですねー。
> ご家族様ご無事でなによりでした。
ありがとうございます。
> 私は中越沖地震の時に実家を失くしているので
あ、そういえばそうでしたね。
> どっぷり「震災ハイ」に陥ってしまいました。
それはテンパっちゃったって意味?・・・ですね。
> 今回は自分自身も大きな揺れで怖思いをしたので、これでようやく地元の人たちの気持ちがわかったような・・・
> わかってはいないかな、少し近づいたような気がします。
あ~、そっか。微妙な心理の働きですね。
> 入学式の頃には落ち着いているといいですね。
> お互いに。
そうですね。
大きいイベントだとただでさえテンパり気味なんで、世間も自分も落ち着いていたいもんですね。
娘さんのご卒業おめでとうございます!!
返信削除画像を見て 感動で涙ぐみました。
あのリボンの話でもっと感動・・・
世の中暗く悲しいニュースが多いし
節電で実際街も暗いし。
そんな中、私達夫婦にも
娘さんの卒業は うれしいニュースです。
久しぶりに『キラキラ』に触れた
感じです^^
ネコキックさ~ん! コメントどーもありがとー!
返信削除> 娘さんのご卒業おめでとうございます!!
ありがとうございます!
> 画像を見て 感動で涙ぐみました。
マジっすか。嬉しゅうございます。
そっか、娘がちびっ子の頃からの付き合いだもんね。
> あのリボンの話でもっと感動・・・
これはこれは。いやはやなんとも。ハハハハハ
> 世の中暗く悲しいニュースが多いし
> 節電で実際街も暗いし。
暗いよねー。
> そんな中、私達夫婦にも
> 娘さんの卒業は うれしいニュースです。
> 久しぶりに『キラキラ』に触れた
> 感じです^^
いや~、そう言っていただけると本当に嬉しいです。
近いうち、いつものところに卒業式の写真をアップするんで、ネコさんナーさんで見てやってくださいね。
見せなきゃいかんだろ。見せるのが義務だろ。くらいに思えてきました。ナハハ。