息子の担任女性教師への手紙

架空の手紙ですが内容は事実です

拝啓　薫風の候、先生におかれましてはご機嫌うるわしくお過ごしのことと存じます。

さて、過日は小１の我が息子の軽薄な振舞いにて多大なるご迷惑をお掛け致し、誠に申し訳ございませんでした。
かような事件にもかかわらず、冷静に対処していただき、最後には息子を赦していただいた先生のマザーテレサ並みの愛の深さとガンジー並みの寛大さに感動するとともに、親子ともども深く反省しております。

あの日の朝、珍しく息子はジーパンを出してきました。 　パジャマから着替える際、「とーちゃん、これ、留めて」と、ジーパン前部のホックを指し示しました。
「自分で留められなきゃ学校で困るだろ。自分でやってみろ」 　息子は果敢にチャレンジしました。
「ほれ、腹を引っ込めろ。　もっとこの辺持って引き込むんだ」 　なかなか留められません。
こりゃ、いつものユルユルズボンにした方がイイな・・・と思った刹那、ホック掛けに成功し、誇らしげな表情の息子がそこに立っていました。
「できたじゃ～ん！イェ～イ！」 私たちはハイタッチを交わしました。

そして息子は近所のお友達と学校へ向かいました。 　お友達のママには「ジーパン、似合うじゃ～ん。とーちゃんそっくり～」などと言われ、息子よりも私の方が良い気分になったものでした。
完全親バカモードに入っていたため、まさかあのような事件が起こるなどと、その可能性ですら想像に及びませんでした。　甘い親でございます。反省しきりでございます。


もうすぐ運動会。　その日はリレーの選手を選出したり徒競走の出走順を決める大事な日でした。
よりにもよってそのような日の体育の時間、体操服に着替えずジーパン姿で校庭に出ていた我が息子を見た時の先生のお気持ち、お察しいたします。

「あなたは走らなくてイイ！」

なんと冷静かつ的確な処分でしょうか。
まったくやる気の見られない、言語道断な振舞いの生徒に対し、感情的にならず冷静に対処できる先生が担任であっことは彼の人生において最大級の幸運と言えましょう。
しかも最後の最後には走らせていただいたと聞いております。 　なんという寛大さでございましょうか。

息子がまず姉に打ち明け、その後両親にも打ち明けた、「着替えなかった理由」とは、

「うん・・・面倒くさかった」

何と言うことでしょう。 そんな理由が通用するはずありません。 あり得ません。　 とりあえず、先生ができなかった分、私が息子のデコに平手のツッコミを入れておきました。

今後はこのような事の無いよう、厳重に注意をしたつもりではございますが、何分、あのようなキャラゆえ（ついでに私のDNAを受け継いでおりますゆえ）、何をしでかすか分りません。

先生には今後もご迷惑を掛け続けることになるかと存じますが、何卒長い目、広い心で見守っていただきたく、図々しくも伏してお願い申し上げる次第でございます。

末筆ながら、先生の益々のご発展とご活躍、ご多幸をお祈り申し上げます。

敬具　

平成二十年皐月

タイケー ダビッドソン　　 　　　　

追伸
とりあえず、2秒以内でホックを留められるようになるまではジーパンは履かせません。

追伸その２
私たち夫婦はクレイマーやモンスターペアレントなどではございません。
酷い時は遠慮なくガツンと食らわせてやってください。
なんならボコボコにしていただいても結構です。

追伸その３
「体育の時間に着替えない言語道断な一年生って、毎年何人くらい居るんだろうね？」と妻。
「毎年は居ねーだろ。10年に一人くらいじゃねえの？」と私。
実際のところどうなんでしょうか？

追伸その４
そういえば私、娘が小１の頃、娘のお友達が体育の時間に着替えようとせず、先生に促された際「（自分は）体育はイイや」と言った話に感銘を受け、そのことをブログにまで書いておりました。
まさか我が息子がその上を行くとは・・・

追伸その５
妻が近所のお母様たち2人にこのエピソードについて話していたところ、一人のお母様、「あぁ、そういうの（面倒なので着替えない）もアリなんだぁ」。
妻ともう一人が「ナシだよ！」と同時に突っ込み、ボケたお母様も我に返ったそうです。
ご安心ください。