2011年10月18日火曜日

脳神経外科ドクター・ヅラーの診立て

アメンボアカイナアイウエオ

前日の予約で朝一番が取れたのは、症状を聞いた上でなるべく早い時間にねじ込んでくれたのだろうか?

診察室に入り、初対面の医師と挨拶。「おはようございます」 もちろんアイコンタクトを取りながらだ。
次の瞬間、俺の目はほんの僅かに視点が上にズレてロックオンしてしまった。

ぅわっ!? ヅラじゃん!

歳取っててもフッサフサの人も居るけども、そういう人はそれなりの髪型をしてるもんだし、もっと馴染んでる。
こんなにあからさまなミスター・ヅラ-は、東急目蒲線西小山駅商店街の果物屋さんの大将以来だ。

「よろしくお願いします」 という挨拶は、先生にではなく、ヅラに向けて言ってしまった。
それを察知したのだろう。
先生は終始不機嫌だった。 これから診療を受ける医師を不機嫌にさせちゃうのはマズかったな。 でもそこはまぁ向こうのプロ意識に賭けてみよう。


俺に脳神経外科受診を決意させたのは、左半身の痺れだ。
左半身っていうのは大袈裟で、左の肘から先、左脚の膝から下、そして顔の左半分に、はっきりした痺れではなく「痺れ感」が出た。

良く言うじゃん。 突然、ろれつが回らなくなるとか、片側の手や腕に麻痺が起こるとかは、脳梗塞の初期発作かもってねぇ。
でも、すぐに治まっちゃうもんで「まぁいいか」って放置すると、数日後に重篤な発作に襲われて、運が悪けりゃ最悪の結果。運良く病院に救急搬送されて処置されても、麻痺等の後遺症が残っちゃったり。
最初の軽い発作の時に、救急車呼ぶなり速攻で病院行くなりすれば、後遺症もなしに綺麗に治療できる確率が高いんだってねぇ。

俺の場合は麻痺じゃなくて痺れ感なんで、これには当たらないんじゃないか?と思いつつ、症状が出たのが職場で一人で残業中だったんで、その場でろれつチェックもしてみた。

「あめんぼあかいなあいうえお」 (やっぱ基本だよな)

うっとりするような滑らかで見事な滑舌。 ろれつ異常なし。

手は痺れ感があるものの動作に支障はない。 力も入るし、キーボードもスラスラ打てる。
顔の痺れ感は気持ち悪いが、鏡でチェックしたところ、表情に異常はない。 勝手によだれが垂れることもない。

症状は翌朝にはケロっと治まった。

う~ん・・・しかし、何だったんだろう?
症状が消えても脳血管系疾患の可能性が消える訳じゃなし・・・

とかなんとか言ってるうちに4日が過ぎ、またもや同じように痺れ感が出てきた。
今度は翌日も症状治まらず。

やっぱ、とにかく病院行って診て貰おう。
何でも無ければ安心できるし、脳血管系の問題でも見つかれば早めの手当で大事にならずに済むだろうし。

ってことで、受診した訳さ。最初に症状が出てから一週間後だ。

さて、診察。

「どうしました?」 「あーでこーで・・・」
そしてあれこれ簡単な機能検査。「麻痺は無いねぇ」
さらに問診。
「タバコは?」 「2007年の暮れにやめました」
「お酒は?」 「滅多に飲みません」
「首は痛くない?」 「痛くはありませんが、凝ってはいます」
「ふ~ん・・・・ じゃ、CT撮りますんで、CT室行ってきてください」

カルテその他の書類ホルダーを渡され、それを持ってCT室へ。 初めてのCTでワクワク。
かなり待たされてから名前が呼ばれCT室へ。
台に仰向けに寝て、レクター博士のように拘束された。
台がスライドして円筒の中へ入って行く。
あの円筒の部分の内部にスキャナーの「ヘッド」が仕込んであって、そこで円筒の中をグルングルン回りながらX線撮影していくんだね。
グルングルン回る勢いで風も起きてて、なぜか笑い出しそうになってしまった。


撮影を終えて再び脳神経外科へ。
部屋の前のソファーで順番を待つ。
結構待たされて暇なのでホルダーを開き、カルテを読んでみた。
そこに押されていたスタンプは、

脳 梗 塞

そしてその横に うたがい と手書きで添えてあった。

ぅわっ!脳梗塞て! いや、覚悟はしててもカルテの中にその文字が踊っていると、なかなか冷静ではいられない。
「うたがい」って手書きの部分がせめてもの救いであり「希望」だ。

その後看護師によりカルテは回収され、さらに待たされてから再び呼ばれた。

CT画像はデジタルデータ化されていて、診察室のコンピューター端末から呼び出せる。スゲーな。
モニターに映し出された俺の脳の輪切り画像の解説が始まった。

「見てください。あなたの脳を輪切りにした画像を順番に表示しますよ」
医師がマウスのホイールを操作すると、画像が次々と切り替わって表示される。

「これね、、、」 (これね って、何を言い出すんだろ?・・・)
「これね、、、出血の跡も血栓も、古い脳梗塞の跡も、もちろん腫瘍も、何も無し。綺麗なもんだ」
「おぉ、そうなんですか!」
「一週間前に症状が出てて、それが脳血管の問題であれば、CTでも何かしら映るはずなんです。
何も無いということは、その症状の原因は別にあります。 脳や脳血管には問題ありません」
「そうなんですか!いや~、それを聞いて安心しました!」

であれば、この症状の原因は何なんだ?って話になる。

おそらく、首や肩の凝りや血行不良で神経が圧迫されたり、末梢神経がくたびれてるせいだろうとのこと。
肩凝りや首筋の凝りの改善に努めつつ、末梢神経に気合を入れる薬を2週間ほど飲んでみて、改善されないようならMRI検査しましょうということに。


この前、ブログに首周りのストレッチの話を書いた時は、背筋の慢性的な、痛みを伴うコリは解消され、首も肩も良い調子だったのだが、近頃、首と肩のコリはぶり返していたのだ。
思えばストレッチも、手抜きバージョンが多くなっていたかも。
季節の変わり目ってのもあるしな。 何せ俺、季節の変わり目でのポンコツっぷりったらない。


で、今はすっかり痺れは引いている。
本当はMRIまでやればもっと安心なんだろうが、とりあえずCTレベルでまったく異常がないことが判ったことによる精神的清々しさは予想以上にデカい。
これに慢心することなく、これからの人生を楽しむためにも、健康には気を付けていかんとなぁ。


これを読んでくれてる貴方も、もしも痺れとか呂律回らないとか麻痺とか出たら、躊躇なく脳神経外科を受診するべきだぜ。
でも、もしもドクターがヅラでも、ヅラを見つめるのはダメー。

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