0泊2日 狂乱の熱海戦線

”れっどぺ ” じゃねーだろ！

「タイケー、ブログに書いてイイよ。これ。イイーネタじゃん！」
友人の一人が言ってくれた。
その他のみんなも異議はなさそう。
ならば・・・
でもほんとに良いのかな？・・・

数ヶ月前、とある関係の友人らに旅行に誘われた。
ところが、あらら、間が悪く日取りの都合が合わない。

だが・・・
長いこと会ってない友人らとも会いたいし、、、
その旅行、「大人」の宴会が恒例なのだそうだ。

俺はそういうのを経験したことがない。
普段も色っぽい系のお店には行かない。
仕事で取引先との飲み会（ま、接待のようなもの）でただ一度キャバクラに行ったくらいだ。
（珍しいだろー？）
フーゾクに関しちゃ一度も行ったことがない。
（ほんと、珍しいだろー？ てか、その旅行とフーゾクはまったく関係ない）

で、友人らとの旅行。
「大人」の宴会がどういったものなのか？
今までは別に興味もなかったのだが、参加メンバーのノリを考えたら、ちょいとその場に身を置いてみたくなっていたので残念無念・・・
その友人ら、本当～にノリが濃いのだ。
彼らの中では俺ごときは糖尿病食並みに薄味なのだ。

ん？場所は熱海？　熱海なら超日帰り範囲内じゃん。
ってことで、夕方から夜半過ぎまで参加して、泊まらずに帰ることにした。
よっしゃ！ハーレーで行っちゃる！

で、土曜日・・・あらら雨かよ。
やっぱ俺って雨男なのかしらん？
しゃあないので車で出動。

宿着。
「うぃ～っす。どもども～」
「おー、タイケー。もちろんハーレーで来たんだよな？」
「いや、それはちょっとー」
「オメー、雨でもハーレーで来てこそ『ハーレーへの道』だろ！」
「あー、そりゃごもっとも」
ウハハハハハ


で、宴会だ。
おー、来た来た・・・
我方８人に対し敵は４人。
様子見から始まり、小規模な両軍の攻防。
初参戦の俺に指令が下り、斥候として出動。
「調べ方が悪い」と駄目出しを食らった。
何せ初陣なもので・・・

俺の向かいの陣では我方の積極的な攻撃が始まり、敵方も天晴れなる防戦。
俺の陣はパートナーも大人しく（自称変態）、ここに来た敵方は次の戦場に向けて小休止的なノリ。
その他の陣は攻防が活発化してきた。

いやいや「大人の遊び」だねー。ってか、、、オヤジの遊びだねー、あーコリャコリャ。

と、
ん？ ホールケーキ出現。
え？・・・　ローソク立ててるし・・・

両軍揃って、みんなでハッピーバースデーを歌い出した。
バースデー休戦だ。
まさか・・・

「ハッピバースデー・ディア・タイケー」
マジっすか！？
翌11日の俺の誕生日を覚えててくれてサプライズを仕掛けてくれたのだ。
うぉ～～～～！　びっくり感動～。 本当にマジで感動した。
火を吹き消そうとしたら、向かいに座っていた友人に吹き消されてしまった。
ギャハハハハハ
火をまた点けて、さ、もう一度 フーっ！ 今度は速攻で吹き消した。

本当にみんな、どうもありがとう。
めっちゃ感激。感動しました。

ケーキを食べる暇もあらばこそ・・・戦火はどんどんヒートアップ。
はす向かいの陣では・・・あらら、両サイドから行きますか。決死のカミカゼ攻撃だ。

凄いな、みんな。戦い慣れてる。
俺は借りてきた猫状態。
とは言えその場の雰囲気やノリは十分楽しんでる。
とりあえず戦闘員ではなく、戦場カメラマンとして大いに仕事をした。（ある意味俺も変態だ）

あっと言う間に2時間経ち、一時休戦。
次は戦場をカラオケルームに移してということで満場一致。

実は俺、カラオケが大の苦手なのだ。
いや、みんなでカラオケ行って盛り上がってる雰囲気は全然苦手じゃない。むしろ楽しい。
が、歌うのが苦手。
昔はバンドでボーカル取ってたのに、カラオケは駄目なのだ。なんつうか、心情的に苦手なのだ。

敵味方入り乱れてカラオケ歌いつつ、戦況はヒートアップ。
俺はと言えば、ピューリッツァ賞ものの写真を何枚も仕留める。
「タイケー！お前も歌え！」
「いや、俺はカラオケ苦手で・・・」
と言いつつも・・・泊まれません、酒飲めません、戦えません、歌えませんじゃ話にならない。
一曲くらい何か歌おうか・・・

ノリの良い曲が大いに戦場を沸かしている。
敵方の一人が戦いに疲れた姿で俺のところへ。
「何歌います？」
「じゃぁ・・・ツェッペリンある？」
「へ？・・・ツェ・・・」
「レッド・ツェッペリン」
彼女がカラオケ端末を操作し、歌手別検索で入力を始めた。近頃はハイテク戦争なのだ。
[れ□□□□□□□]
[れっ□□□□□□]
[れっど□□□□□]
[れっどぺ□□□□]
「ぅお～い！ぺ って！ ”れっどぺ ”じゃねーだろ！」
このときばかりは俺も迫撃砲で応戦した。
「あ、すいません。何でしたっけ？」
無事入力を終えると、ツェッペリンの曲が何曲も出てきた。
おー、スゲースゲー。
この場に相応しいのは「移民の歌」か「ロックン・ロール」だが、みんなが知ってるあの曲の方が良いかな。
ってことで曲をエントリー。

ノリの良い曲が続き、戦況がヒートアップしたピークを狙い澄ましたように俺の曲のイントロが始まった。
「みなさん、この曲で大いに盛り上がってください！」
ってその曲は、「天国への階段」
盛り上がれるかってんだ！

この雰囲気の中で敢えて「天国への階段」ってとこが”面白れー”などと一人勝手に盛り上がってる俺。
「There's a lady who's sure・・・♪」
案の上、休戦状態になってもうた・・・。

カーステで掛かると歌っていたので、十分歌えるだろうと踏んでいたのだが・・・ありゃりゃ。
もうかれこれ15年以上ちゃんとロック歌ってないし・・・などと言い訳。
しかもこの曲、8分くらいある。
アハハ！良い迷惑だね、コレ！
でもまぁ、休憩には良かったんじゃないかな？

しかし近頃のカラオケは良く出来てるね。
そこそこ雰囲気出てたし、とりあえず本人は気持ち良く歌えた。
あ、もちろん間奏のギターソロも俺が口で弾いた。（ちぇーーん ちぇれちぇちぇちぇれちぇちぇちぇれちぇー♪）

なんとか歌い終え、一応ウケた。
敵方の一人が妙に反応してくれて、ま、商売とは言えチト嬉しかった。アハハ。

そして再び戦火は盛り上がる。
何か意味不明なものを回し始めた。回してぇ！回してぇ！って何を回しているのだろう・・・
あと一歩で井出らっきょな戦士が増える。
ついに敵方、リーサルウェポン状態。
戦利品を・・・被るか！君も被るのか！？　君がか！？・・・
上島竜平を標榜する戦士が現れた。
空軍は敵方と共に編隊を組んで上空を何度も旋回。
敵方の捕虜に人生についてのアドバイスを始める紳士な戦士も現れた。
その横では、命知らずの戦士からの報告「ガンダーラだね」　何ぃ、ガンダーラとな！・・・

戦場カメラマンの俺は命を賭してファインダーを覗きシャッターを切り続けた・・・

戦地を移動してからの2時間もあっという間に過ぎ去った。
戦場を後にし、基地へ戻る。


俺が撮ったピューリッツァ賞間違いなしの写真のうちの一枚で被写体となった友人、「マジで？ 俺、その写真買うよ」
それくらい「力」のある写真だったのだ。 （↑の写真は全然関係なし）

午前0時を大きく回った。
それじゃ、俺は　ってことで皆に別れを告げ、一人帰路に就いた。


帰宅後、とりあえず写真をチェック。
ところが、な！な！なんと！
カメラ（というよりおそらくメディア）の調子が悪く、戦況が活発だった頃の写真がごっそりデータエラー。
あっちゃあ～・・・・
友人に写真を売って金儲けすることができなくなってしまった。
俺のカメラ、検閲機能が付いてるんだろうか？・・・

なにはともあれ、心底楽しい宴会だった。
泊まれないから日帰りってのも、酒が飲めないってのも、戦士としては働けなかったのも、みんな俺の勝手な都合なのに、友人らには気を遣わせてしまった。
なんかちと申し訳ない。でも、とぉ～っても嬉しかった。
みんなの盛り上がり様を見て、本当に心から愉快な気持ちを満喫できた。


さて、このトピック。
ボカして書いているが、リアルに詳細に書いてしまうと洒落にならないって訳ではない。（多分ね。でも退くだろうなぁ）
ヘタに書いて関係者に誤解を与えてしまった場合、訴訟沙汰や刃傷沙汰に発展してしまう可能性を危惧して、このような形を取ったということを書き添えておこう。
あくまでも大人の（いやオヤジの）”遊び”の範囲内です。
マジでマジで。
えぇ？マジでぇ？・・・いやいや、マジですって。（多分ね・・・多分かよ！）


翌日、俺はカラオケでの反省から車でツェッペリンばかり掛けていた。
娘も「天国への階段」が気に入ったようだ。
息子は「移民の歌」がお気に入りだ。
戦争とは無縁の、平和な一日だった・・・