ヒトリダカラぁ~
「これ、いくらで売ってるの?」
「ソレはねぇ、5千円マデダイジョブデス」
謎のペルー人は何か含んだような悪戯っぽい笑顔で、声を抑えて答えた。
しかし、”マデダイジョブ”って何だ?・・・
「え?5千円てこと? 5千円はちょっと・・・高いなぁ」
「ソレはね、アンデスの竹ダカラぁ」
「アンデスの竹なの? そっかー、だから高いの?あっそう」
「じゃ、こっちは?」
同じ種類だが俺の目にはもうちょっと高そうに見えるものを手に取り聞いてみた。
「ソレ、3千円マデダイジョブデス」
”マデダイジョブ”って何だ?・・・
「あ、こっちの方が安いんだ。何?それじゃあこれは中国の竹?」
「ソレはアンデスノアシデス」
「アンデスの葦ね、へぇ~」
謎のペルー人男性、名前はリカルド・タナカ・ベラウンデ。通称リカちゃん。
数名の仲間とバンドを組み、”ペルーの笛”を担当。
ストリートライブをしながらCDや”ペルーの笛”の販売をして生計を立てている。
が、その実、彼はペルー諜報機関(対外情報局 DINTE)のエージェントであり、日本におけるペルー好感度調査と現地休眠工作員のリクルート任務に就いているのだ。
・・・なんてえのは、俺の勝手な妄想。(名前も含めて)
今年の春くらいから勤務先の最寄り駅で、謎のペルー人バンドがストリートライブをするようになった。
『コンドルは飛んで行く』などの”アンデス音楽”バンドだ。
立ち止まってちゃんと聴いてみたい気持ちをいつもなんとか振り切っていた。
どうも例の”ペルーの笛”の販売もやっているようで、立ち止まりでもしたら買ってしまうに決ってるのだ。
あー、ヤバいヤバい。
ある日、ちょっと早めの仕事帰り。
駅前で一人のペルー人(リカちゃん)が簡易テーブルにCDなどを並べて商売をしていた。
CDの横に見えるのは、やはり例の”ペルーの笛”か?・・・
行ったらいかん。
駄目だ。
行ったら買ってしまうぞっ。
おい、俺!何やってんだ。まっすぐ改札へ進めー!
意に反して俺の足はまっすぐ謎のペルー人の元へ。
なんでだろ?・・・ おそらく秋の長雨のせいだ。うん。そうに違いない。
簡易テーブルの上には、オメダ(田中 健)が好きそうな”ペルーの笛”が3種類置かれ、売られていた。
どれも素朴で暖かみがあって良い感じ。
そして、黒っぽい色の縦笛を手に取り、値段を聞いてみたのだ。
「今日は、本当に、トッテモ安いデスヨ」
「え?じゃあ明日は高いの?」
5千円のアンデスの竹の方を指差し、「明日はソレ、8千円」
「ナニーっ!」
「今日はヒトリダカラぁ」 自分一人でやってるからというような身振り。
「え?一人だと安いって?」
「明日は4人ダカラぁ、お金ミンナ貰うダカラぁ・・・」
「え?頭数増えても分け前減らないように値段変えるの?」
「今日はヒトリダカラぁ」
「凄いシステムだねぇ・・・てか、それちょっと間違ってね?」
隣に居たサラリーマンのおっさんが俺に、「まぁ、お国柄だよ。ガハハ」
そしておっさん、5千円の縦笛を言い値で買って行った。粋だねぇ。
他にも、細くて長さの違う沢山の筒を2列にまとめたような笛もある。
「こっちはいくら」
「コレ、3千円マデダイジョブデス」
だから”マデダイジョブ”って何だ?・・・
「じゃあさ、これと、これ(3千円の縦笛)一緒で、もっと安くしてくれる?」
「エエト、、、5千円でイイデ~ス」
今度は”マデダイジョブ”じゃないのかよ!
「OK」
商談成立。
「CDもドウデスカ? 本当は3千円ダケド、千円デス。ヒトリダカラぁ」
「いや、結構」
↓リカちゃん
ヒトリダカラぁ~!
帰宅し、子供らの獰猛な好奇心を蹴散らしつつ早速吹いてみることに。どちらから吹こうか?・・・
ええい!どっちもだー!

縦笛の方は「ケーナ」という。
音を出すのにコツが要るが、すぐに出せるようになった。
心をくすぐる素朴な音。
風切り音が絶妙にあいまって”アンデス”を奏でる。
音階がちょっと音痴だが、ま、そこが味と言えば味だな。
高音部は息を大量に吹き込まなければ音が出ない。
ヘタクソだからかな?
あ・・・眩暈がしてきた。

細い管をまとめた方は「サンポーニャ」。
空ビンを鳴らす要領で吹く。
吹き方によって、和音も出せる。
こっちの音もイイな。和むなぁ。心はすっかりアンデスだ。
チョ~~~ベタだが、『コンドルは飛んで行く』を吹いてみた。
あら? 音足りね。
そういえば小さいサンポーニャも売っていた。
小さいサンポーニャと2つ使わないと出来ないっぽい。
というか、これ・・・ちゃんとドレミの音階が出せない。
これが「アンデス・スケール」なんだろうな。
あ~あ、買っちまったぜ。ウハハハハハ!
嬉しや楽し、ペルーの笛。
今度ハーレーでツーリング行く時、持って行って吹いちゃおうかな。
ちと、笑えるかも・・・
さすがタイケさん!
返信削除足が勝手に動くのと、「ケーナ」と「サンポーニャ」を両方吹いている写真には笑ってしまいましたぁ。
ペルーの笛ってペルーの人なら誰でも吹けちゃったりするのかなぁ?
リカちゃんは吹いてたの?
音色聞いてみた~い!!
タイケ、練習して今度ストリートライブに混ぜてもらうとかはどう?
ライブ鑑賞料は1500円マデダイジョブデス!
こんにちわ!
返信削除思い出しちゃいました。
他人のギャラで勝手に楽器(笛)買っちゃったりして・・・?
何らかの楽器はいつでも持ち歩いていて
待ちあわせに早く着いていると、
電車のホームや改札口・・・・どんな場所でも人の迷惑考えずに、
(よく注意されていた。)
でも満足した顔して、笛を吹いている人。
その人、ケナーも持っていたな~
くれぐれも練習場所はわきまえてね!
おー
返信削除すげー
よく買ったね
ハーレーのツーリングの時
持ってきてね
2人で演奏して稼ぐのだ
ハーレーバックにして意外と似合ったりして
ポンチョみたいの着て
カースケ、オメダ、グズロク、タマの役を割り当ててストリートライブだぁ♪
コジ~っ! コメントどもですだ~!
返信削除笑っていただけて何よりでございます。
> ペルーの笛ってペルーの人なら誰でも吹けちゃったりするのかなぁ?
どうなんでしょね?
でも俺達、雅楽の横笛とか吹けないっすよね。笛吹き童子みたいなやつ。
尺八も無理っすよね。首振り8年なんちゃって。
ま、身近なもんじゃないっすけどね。
> リカちゃんは吹いてたの?
ちょっと吹いてました。
「カンタンよー」なんつーて。
> 音色聞いてみた~い!!
イイっすよ。アンデスな感じで。
> タイケ、練習して今度ストリートライブに混ぜてもらうとかはどう?
イイっすね! でもそしたら笛が更に値上りっすわ。
「えぇ!この笛、9千円もするの~?」
「今日は5人ダカラぁ~」
> ライブ鑑賞料は1500円マデダイジョブデス!
アハハ! 「マデダイジョブデス」の正しい用法っすね!
タナバタァーさ~ん! コメントありがとです~!
返信削除所構わず鳴りモノ鳴らしてるってスゲーっすね。
その尋常じゃなさにチト惹かれるけど・・・
> くれぐれも練習場所はわきまえてね!
あい。心しておきまする~。
川上ぃ~! 毎度どもども~!
返信削除> よく買ったね
買っちっただよ~。
> ハーレーのツーリングの時
> 持ってきてね
おう!持って行くぜ!
> 2人で演奏して稼ぐのだ
アハハ 稼げるのかえ?
> ポンチョみたいの着て
あ、笛買ったらポンチョも欲しくなっちゃっただよ。
なんだかねぇ~
> カースケ、オメダ、グズロク、タマの役を割り当ててストリートライブだぁ♪
てか、ペルーの笛持ってるのオメダだけなんすけど・・・アハハ。
てか、俺、ワカメ役でええですか? ブハハ!
こんにちは、
返信削除>5千円の縦笛を言い値で買って行った
このおっさんまぢでただもんじゃないっすねw
akka~n! コメントありがと!
返信削除> このおっさんまぢでただもんじゃないっすねw
うむ。だだもんじゃないよね、まぢでね。
もしかしてサクラだったりして?
いるいる!カラフルなポンチョきて
返信削除ちょっと大きめの駅で
演奏してるんですよね。
私もいつも心奪われてますぅ・・・
タイケーさん 笛二つも買っちゃって片足突っ込んじゃったから 3ヵ月後には
「ペルー人セット 一式」が揃うとみてます。
そしてとっておきの情報でっせ、ダンナ。
私の友人(男。美人妻と自由人の娘をもつ働き盛り42歳)は 毎日駅で生演奏を聞きながらいつしか洗脳され、CDを一枚千円で買いました。
そのときはきっとペルー人1人だったのでしょう。
そのCD、千円なので 音源が悪かったり
最悪、音が出なかったりするかもしれないと
思っていたらしいが 非常に音もきれいで
とにかく癒されるし 仕事のストレスも
これを聞くと すぅーっとひいていくらしい・・・毎日 ハマって聴いてるって。
さぁ、どうするっ!?
ネコキックさ~ん! コメントありがと~!
返信削除いつも心奪われてるとですか。
俺はもう笛買っちゃったから、これからは心置きなく心奪われられるかなぁ。
って、片足突っ込んで3ヶ月後は「ペルー人セット 一式」って、アハハハハ。
”ペルー人セット” 欲しい・・・
なぬ!CD情報とな!
ふむふむ・・・そっかぁハマってるのかぁ。
CD、3種類あるのよね。
リカちゃん一人の時狙って3枚で3千円。
>さぁ、どうするっ!?
って、そりゃもう、俺にその気がなくても、この足がまた勝手にリカちゃんの元へ俺を運んでくれるだろうねぇ。
(ヤベ、、、マジで欲しくなってきた)